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 米Microsoft(マイクロソフト)は2020年8月17日(現地時間)、「Microsoft 365(旧称Office 365)」の「Internet Explorer 11(IE11)」ブラウザーでの動作サポートを1年後に終了すると発表した。利用する企業は一定の対応を進める必要がある。

 マイクロソフトは以前からIE11の積極的な開発をやめて、Windows 10の標準ブラウザーである「Edge(エッジ)」に注力する方針を打ち出していた。今回の発表で、自身が「脱IE」を進め、顧客にもIEからEdgeへの移行を促す姿勢がより鮮明になった。

大企業や官公庁に残るIE依存アプリ

 だが、日本の法人ではまだIEが多く残っている実態がある。日本マイクロソフトMicrosoft 365 ビジネス本部製品マーケティング部の春日井良隆エグゼクティブ プロダクト マーケティング マネージャーは「企業や官公庁では、IEに依存する古い業務用Webアプリケーションが多数残っているのではないか」と話す。

 日本マイクロソフトは現状を詳細に把握できているわけではないが、「全体的な傾向として、特に規模が大きい企業や官公庁で、IE依存のWebアプリが100個単位で残っているところが少なくないようだ」(春日井氏)と見る。

 既にマイクロソフトは2015年ごろから、IEについて「セキュリティー対策などの最低限の機能修正だけはするが、新機能の追加はしない」との方針を打ち出していた。2020年までに、改良が繰り返されてきたEdgeや、米Google(グーグル)のブラウザー「Chrome(クローム)」などに比べて、IEは改良がないままの古いブラウザーになっている。

 マイクロソフトは自社製品のMicrosoft 365でIE11をサポートするのをやめるが、IE自体のサポートをやめるわけではない。IEのサポートは原則としてWindows 10が提供される間は永続的に続く。古いWebアプリをそのまま使い続けることも可能だ。

Twitterなど一般向けサービスは既にIE外し

 だが個人向けの世界ではIE11を使い続ける人は既に少数派になっている。「個人向けのサービスであれば、最新のブラウザーで最新の機能を使いたい人が多い。5年前に作られ、機能や動作速度などが劣るWebアプリを使い続けたい人はいない」(春日井氏)。例えば代表的なSNSであるTwitterやFacebookは、既に推奨動作環境からIEを外している。

 ところが法人向けでは、ブラウザーの選択権は個人ではなく、企業・官公庁の情報システム部門が握る。IE向けに作ったWebアプリ資産が数多くあって、IEで安定稼働している場合、Edgeなど新しいブラウザーに移行するには余計なコストがかかり、動作検証の手間もかかる。これがIEとIE依存のWebアプリが法人で根強く残る背景になっている。