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 「オープンイノベーションで社会価値・顧客価値の共創を進める」ーー。こう語気を強めるのはブリヂストン代表執行役Global CEO(最高経営責任者)の石橋秀一氏。2020年9月15日に開催した中長期事業戦略の進捗発表会における一幕だ(図1)。同社は300億円を投じて東京都小平市の技術拠点を拡充し、「Bridgestone Innovation Park」を設立する(図2)。2021年末から社外との連携を一層強めて、多様な技術を育成。自動車メーカーに対する“メガサプライヤー級”の提案力を目指す。

図1 中長期事業戦略の進捗発表会に登壇したブリヂストン代表執行役Global CEO(最高経営責任者)の石橋秀一氏
図1 中長期事業戦略の進捗発表会に登壇したブリヂストン代表執行役Global CEO(最高経営責任者)の石橋秀一氏
(撮影:日経クロステック)
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図2 東京都小平市に設立する「Bridgestone Innovation Park」
図2 東京都小平市に設立する「Bridgestone Innovation Park」
写真は企業博物館「Bridgestone Innovation Gallery」。2020年11月に一般公開を始める。(撮影:日経クロステック)
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 石橋Global CEOは同発表会で「韓国・インド・中国のタイヤメーカーは必ず技術で追いついてくる。これは時間の問題だ」と述べ、競争が激化するタイヤ業界の現状を明かした。世界首位級のタイヤメーカーであるブリヂストンといえど、新興メーカーとの価格競争では分が悪い。

 そこで同社が活路を見いだすのが、自動車メーカーの開発初期段階から参画し、独自性の高い技術を積極的に売り込むことだ。部品メーカーとしてだけではなく、頼れるパートナーのような存在を目指す。

 開発の初期段階に食い込もうとする動きは、デンソーやドイツBosch(ボッシュ)、同Continental(コンチネンタル)といったメガサプライヤーの戦略と重なる。展開する多様な製品群の部品を組み合わせて自動車メーカーの要望に応える。

 メガサプライヤーとしては、他部品メーカーにまねできない技術を提案でき、生産開始後の転注(調達先変更)リスクを減らせる。自動車メーカーとしても、開発を効率化できたり、自社にはなかった新たな発想を得られたりと利点は多い。

 メガサプライヤーのような提案力を育むため、ブリヂストンに必要なのは技術の「引き出し」を増やすこと。そこで、Bridgestone Innovation Park内に設立するオープンイノベーション施設を通して社外との接点を増やす。

 既に米国やイタリアでこれに近い施設をつくり一定の成果を上げている。これら海外拠点と、新たに設立する日本拠点との連携も視野に入れる。日本拠点で誘致する企業数は明かさないが、材料技術を得意とする企業はもちろん、IT(情報技術)をはじめとする異業種の企業を積極的に誘致したい考えだ。