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 手順が決まったパソコン作業を自動化する技術であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の開発スキルを、Web会議サービスなどを使ったリモート環境で学べる企業向け研修サービスが相次ぎ登場している。

 2020年8月、アビームコンサルティングは「RPAオンライン研修」の提供を本格的に始めた。それに先立つ2020年7月にはパーソルプロセス&テクノロジーとビースタイル バリューテクノロジーズが、2020年6月からはSCSKサービスウェアとヒューマンリソシアがそれぞれオンラインでのRPA研修を始めた。

アビームコンサルティングが提供する「RPAオンライン研修」の様子
アビームコンサルティングが提供する「RPAオンライン研修」の様子
(出所:アビームコンサルティング)
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 各社ともRPAの集合研修を手掛けてきたり、RPAを活用した業務改革を支援したりしてきた実績を踏まえて、リモート研修サービスを提供する。

RPA開発に関するリモート研修サービスを提供する動きの例
提供会社名概要料金(税別)
アビームコンサルティングAutomation Anywhere、BizRobo!、Blue Prism、UiPathの開発に関する「RPAオンライン研修」を2020年8月に本格的に始めた。基礎編と応用編からなる。研修形式にはライブ講義、オンデマンド配信がある30万円(オンデマンド配信形式で1人の場合)~
SCSKサービスウェアUiPathの開発に関する「オンライン・ハンズオン・トレーニング」を、2020年6月に開始した。Web会議サービスによる講義に加えて、リモート・デスクトップ・サービスによるRPAツールを使った演習も行う。簡単開発ツールや初級・中級レベルなど従来の集合研修にもあった6種類の研修を提供していく16万円(簡単開発ツール研修で4人の場合)~
パーソルプロセス&テクノロジーWinActor、UiPathの開発に関する「RPA導入研修」を2020年7月、オンラインでも開始した。従来の集合研修と同じく、WinActorは初級・中級・上級、UiPathは基礎・応用と、レベル別に研修を提供していく27万円(3人までのUiPath研修の場合)~
ビースタイル バリューテクノロジーズWinActor、UiPathの開発に関するRPA研修を2020年7月、オンラインでも開始した。従来の集合研修と同じく 、WinActorは初級・中級、UiPathは基礎・応用と、レベル別に研修を提供していく12万円(5人までのWinActor初級研修の場合)~
ヒューマンリソシアWinActorの開発に関する研修を2020年6月、オンラインでも開始した。Web会議サービスによる講義に加えて、リモート・デスクトップ・サービスによるRPAツールを使った演習も行う。従来の集合研修と同じく、初級・中級・上級とレベル別に研修を提供していく3万円(初級研修で1人の場合)~

背景に参加しづらくなった集合研修と衰えぬRPAの利用意向

 リモート研修サービスが続々と登場した背景の1つはコロナ禍による就業環境の変化だ。ヒューマンリソシアが2020年4月、RPAの利用企業を対象にテレワーク環境下での利用状況についてアンケートをしたところ、以前のようにRPAを利用できていると答えた企業は3割ほどにとどまった。

 その理由について、同社の岡本哲英RPA事業本部RPA事業部長は「出社や外出に制限がかかる中で、RPAに関する研修受講や情報収集ができないなど、場所が大きな制約になっている」と説明する。「場所の制約を取り払うことを目的に、リモート研修サービスを開発した」と続ける。

 SCSKサービスウェアの藤澤英治第二事業本部第一事業部担当部長によると新型コロナウイルスの流行前から、集合研修の貸し切り開催や地方の企業へ講師が訪問する出張開催の希望が多く寄せられていたという。それが「感染症の流行によって、在宅勤務とオンライン会議が急速に普及してオンラインに対する抵抗感が払拭されたこともあり、オンライン開催を希望する企業が増えている」と話す。

SCSKサービスウェアの「オンライン・ハンズオン・トレーニング」の実施風景。講師はノートパソコンのディスプレーに研修テキストを表示させたり、奥の大型ディスプレーで受講者が操作する演習環境の画面を確認したりしながら講義を進めていく
SCSKサービスウェアの「オンライン・ハンズオン・トレーニング」の実施風景。講師はノートパソコンのディスプレーに研修テキストを表示させたり、奥の大型ディスプレーで受講者が操作する演習環境の画面を確認したりしながら講義を進めていく
(出所:SCSKサービスウェア)
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 もう1つの背景がRPAを利用したいとする企業の意向が衰えていないことだ。「コロナ禍でもRPAの普及を目指す」という方針を掲げる企業が少なくないようだ。アビームコンサルティングの安部慶喜執行役員プリンシパルは「RPAの開発運用体制を強化する、RPAツールの見直しで新たな開発スキルを身に付けるなど様々な目的でオンライン研修に関する問い合わせがコロナ禍以前とは比較にならないほど多く寄せられている」と明かす。

 ビースタイル バリューテクノロジーズの浮田聡介社長は「RPAをすでに導入していて、一定の成果を得ている企業からのニーズが高い」と説明する。RPAの全社展開を内製化によって進めていくため、推進役以外の社員にRPAの研修をするケースが多いという。人手不足などの理由で企業が「定型業務はRPAなどの技術で自動化し、人にしかできない仕事に人員を割り当てていく体制へ移行していく」(浮田社長)ことを目指して、RPA研修に注目が集まっているようだ。