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 2020年10月1日に、改正電子帳簿保存法が施行される。事業者が発行する請求書・領収書などの書類の電子保存に関する規制が緩和される。

 電子データによる書類の授受・保存は以前から認められていた。ただし改ざん防止のため、社内で内部規定を定めて運用するなど煩雑な手続きが必要だった。10月1日からこの規制が大幅に緩和される。具体的には、第三者が運用し電子データの改ざんが困難なクラウドサービスを使えば、手続きを省ける。またキャッシュレス決済による明細データを領収書の代わりとして使えるようになる。

 請求書や領収書の保存は法人税や消費税などの納税・徴税と密接に関わることもあり、一定の規制がある。紙よりも電子データの方が改ざんしやすいとも考えられるため、これまで電子データに関する規制は厳しかった。

担当者「分からない」、認知は低調

 企業にとって、請求書や領収書を容易に電子保存できるとなれば、メリットは大きいはずだ。紙を社内外でやり取りしたり、倉庫などに保存するコストを削減したりできる。クラウドサービスを提供するITベンダーにとっても、ビジネス機会を拡大できる可能性がある。

 ITベンダーの1社であるインフォマートの木村慎執行役員は「今回の改正で電子データ保存に対するハードルが下がり、関連システムの需要が高まる可能性がある。新型コロナウイルス対策のためのペーパーレス推進の流れもあり、引き合いは増えている」と話す。一方で「実際に電子化を推進するとなると、スムーズには行きそうにないのが心配だ」とも率直に話す。

インフォマートの木村慎執行役員
インフォマートの木村慎執行役員
(出所:インフォマート)
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 懸念する背景には、インフォマートが企業の経理担当者らを対象に実施したアンケートの結果がある。「電子帳簿保存法が2020年10月に改正されることはご存じですか」という質問に対し、「はい」は11.7%にとどまった。「いいえ」が88.3%を占め、認知度が極めて低いことが分かった。

 「改正により、電子化に取り組めそうな帳票はありますか?」という質問に対しては、請求書が35.2%、領収書が18.1%あったが、「分からない、電子化に取り組めそうな帳票はない」という回答が56.0%と多いのが実情だ。

帳票の電子化意向に関する調査結果。「改正により、電子化に取り組めそうな帳票はありますか?」という質問に「分からない、電子化に取り組めそうな帳票はない」という回答が56.0%(複数回答)
帳票の電子化意向に関する調査結果。「改正により、電子化に取り組めそうな帳票はありますか?」という質問に「分からない、電子化に取り組めそうな帳票はない」という回答が56.0%(複数回答)
(出所:インフォマート)
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