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 新型コロナウイルス禍で在宅勤務が長引き、社員のエンゲージメント(絆)が弱くなったり、コミュニケーションが停滞したりするマイナス効果を懸念する企業は少なくない。1つの解決策として参考になりそうなのが、IT企業のNECネッツエスアイとエネルギー業界向けのクラウドサービス開発を手掛けるパネイルの取り組みだ。いずれも社長が映像・音声コンテンツの「配信者」となって社内の活性化に取り組んでいる。

11カ月で27番組を配信

 「社員のエンゲージメントが弱くなってきた」。こう明かすのがNECネッツエスアイの鷲山光洋エンパワードビジネス推進本部本部長代理だ。

 同社がテレワークを導入したのは2017年と早く、現在多くの企業が検討しているオフィス再編成も先行している。コロナ禍の前、2019年10月にはオフィスを分散型に再編。1都3県の7カ所にサテライトオフィスを構え、同時に本社ビルのフロアを6割削減した。

 分散型の働き方を先駆けただけに、デメリットの把握も早い。社員のエンゲージメントの低下を受け、同社は会社方針を周知すると同時に、一体感も醸成するため、「社員向けの情報発信の強化が必要と考えた」(鷲山本部長代理)。

 2020年8月、同社は新ビジネス創造のためのオフィス「日本橋イノベーションベース」にある会議室の1つを配信スタジオに転用し、映像を使った社員向けのメッセージ発信の場に変えた。スタジオでは牛島祐之社長自らが米Zoom Video Communications(ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ)のオンライン会議ツール「Zoom」を通して、中期経営計画などを社員にライブで伝え、会社の方針を周知徹底する予定だ。

NECネッツエスアイが新ビジネス創造の場とする「日本橋イノベーションベース」に開設した社内スタジオ
NECネッツエスアイが新ビジネス創造の場とする「日本橋イノベーションベース」に開設した社内スタジオ
(出所:NECネッツエスアイ)
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 スタジオの広さは45平方メートル。4チャンネルのマイク入力や2系統のビデオカメラ入力、出演者用とオペレーター用のディスプレーを数台ずつ設置するなど設備は本格的だ。このノウハウは、企業のスタジオの環境構築から運用サポートまでをトータルで行う「Zoom オンライン配信サービス」として2020年9月9日から外部にも提供している。

 実は牛島社長は自身による社内コミュニケーション強化をスタジオ開設の1年半前、2019年2月から始めている。その名も「Ushijimaラジオ」。Zoom社との業務提携などで活躍した社員などに社長自らがインタビューする番組など、2019年に27本を配信した。

 牛島社長は社外向けの情報発信も積極的だ。YouTubeにおいて、同社長が主演する動画の配信を2020年4月から開始した。今後、映像系は年頭あいさつや中計などのフォーマルなコンテンツで、音声系は社員インタビューなどのカジュアルなコンテンツで編成する方向で検討している。

YouTubeで「Ushitube」として牛島祐之社長がオフィス「日本橋イノベーションベース」を紹介する1シーン
YouTubeで「Ushitube」として牛島祐之社長がオフィス「日本橋イノベーションベース」を紹介する1シーン
(出所:NECネッツエスアイ)
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