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 米Google(グーグル)、同Apple(アップル)、同Facebook(フェイスブック)、同Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)といったIT(情報技術)の巨大企業。そんなGAFAを意識して「付加価値の高いところをやっていく」と言うのが、アイシン精機でMaaS(Mobility as a Service)分野を担当する同社CSS(Connected&Sharing Solution)カンパニープレジデントの鈴木研司氏だ(図1)。

図1 アイシン精機CSSカンパニープレジデントの鈴木研司氏
図1 アイシン精機CSSカンパニープレジデントの鈴木研司氏
(出所:アイシン精機)
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 同カンパニーは2020年4月に設立した部門。アイシン精機、および同社と21年に合併を予定しているアイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)のそれぞれから、MaaS分野に関連する人材を集めて発足した。母体は、アイシンAWでカー・ナビゲーション・システム(以下、カーナビ)を担当していたVIT(Vehicle Information Technology)事業本部である。

 CSSカンパニーが狙うのは、カーナビで得られる地図付きの位置情報と、自動車のサスペンションやブレーキ、ドライブトレーン、ボディーといった同社が扱う部品から得られる車両情報、場合によってはさらに車載カメラの画像も組み合わせて、顧客に有益な高付加価値の情報やサービスを提供することだ。

 例えば、位置情報に加えて、サスペンションやドライブトレーン、ブレーキの情報を使えば、トンネルを出たときに横風を受ける場所や、タイヤが滑りやすい場所を特定できる。カメラの情報を含めれば、タイヤがマンホールで滑りやすくなっていることも分かる。道路に穴が開いた場所を特定することもできる。

 そしてこれらの情報は、道路インフラの改善・修復や、走行中のクルマへの注意喚起などに有用なものとなり、新たなサービスにつながる可能性があるという。すなわち、「位置情報×車両情報」によって新たなサービスを開拓していこうというのがMaaS分野におけるアイシン精機の戦略だ。前述のような自動車部品とカーナビの双方を扱っている同社だからこそ、強みとできる領域であり、GAFAとの差異化につながると同社はみている。

 カーナビのクラウド化によって、カーナビの機能を拡張したものをMaaSとして展開することも視野に入れる。例えば、危険な交差点が近づいているなどの情報を先取りして伝えることで、運転者に注意を促したり、円滑な自動運転を支援したりすることが可能になると考えている。

 地図付きの位置情報を、物流分野や高齢者・子育て世代の支援に役立てることも考えている。例えば、地図と位置情報、場合によっては交通渋滞などの情報を組み合わせることで、配送車のルートを最適化して、物流を効率化できるという。また、子育て中の親が子どもを送り迎えするのに使える乗り合い送迎サービスや、高齢者が外出する際に気軽に使いやすい乗り合い送迎サービスにおいても、地図付きの位置情報や交通渋滞情報を使えば、送迎ルートの最適化が可能になる。