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 小惑星「リュウグウ」のサンプルが入ったと期待されるカプセル――。そのカプセルを地球に届けるために、地球に向けて宇宙空間の飛行を続けているのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」である。はやぶさ2は同カプセルを大気圏に再突入させるために、2020年12月5日14~15時(日本時間)ごろ、地球から約22万kmの地点で同カプセルを分離する計画*1。その後、軌道を変更した上で地球スイングバイを実施し、地球圏から再離脱する予定だ。そして20年9月、ついにはやぶさ2のその後の行き先が決まった。

*1 分離したカプセルは、計画通りならオーストラリアのウーメラ地区に同年12月6日の2~3時(日本時間)ごろに着地し、現地に派遣したチームが回収に当たる。

 はやぶさ2の次の目標天体は、直径が30mないし40mほどとみられている微小小惑星「1998 KY26」である(図1、2)。同小惑星は、「将来、地球に衝突する可能性がある」(JAXA宇宙科学研究所はやぶさ2プロジェクトチームプロジェクトサイエンティストの渡辺誠一郎氏)とされる天体の1つ。また、これほど小さな天体はこれまでに探査機が訪ねた例がないという。自転周期が10分余りと高速に自転している点も特徴という。広い意味でのC型に属するX型の天体で、C型のリュウグウとの比較対象としても望ましいという。

図1 微小小惑星「1998 KY26」の形状モデルと大きさ比較
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図1 微小小惑星「1998 KY26」の形状モデルと大きさ比較
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図1 微小小惑星「1998 KY26」の形状モデルと大きさ比較
左が、はやぶさ2との比較。右が、リュウグウとの比較。(出所:1998 KY26画像はAuburn University、JAXA、リュウグウ画像はJAXA、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研)
図2 1998 KY26の軌道図
図2 1998 KY26の軌道図
天体の位置は、2020年9月15日時点のもの。(出所:JAXA)
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 渡辺氏によれば、直径30mを超える隕石(いんせき)の地球への衝突頻度は、数百年に1度程度。そうした隕石になり得る直径数十mの天体が地球に衝突すると、地域的に大きな被害が出ると想定されている。実際、13年2月にロシアのウラル地方に落下したチェラビンスク隕石は、大気圏突入時の直径が17mとされるが、1500人以上の負傷者を出した*2

*2 地球に衝突し恐竜を絶滅させたとされる小天体の直径は、10kmほどと推定されている。

 ただ、残念ながら直径数十mの微小小惑星は、その強度や力学特性、自転状態、物性などがよく分かっていない。世界初となる直径100m未満の天体の近傍観測は、地球史の解明だけでなく、地球衝突の回避や防御に役立つ情報が得られると期待されるという。