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 米カリフォルニア州知事は、2035年までに同州の新車販売の全てを「ゼロエミッション車(ZEV)」にする方針を発表した。米国は多くの日系自動車メーカーの主力市場で、中でもカリフォルニア州の存在感は大きい。実現すればZEVの代表といえる電気自動車(EV)の比率は、35年を待たずに大きく高まりそうだ。一方で政治的な思惑が強く、専門家の間では冷静な見方も目立つ。

15年後にエンジン車は終焉(しゅうえん)か
15年後にエンジン車は終焉(しゅうえん)か
出所:GM
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 20年9月23日、同州知事で民主党のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)氏が発表した。その実現性は、20年11月に実施される米大統領選の行方に大きく左右される。

 現大統領で共和党のDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏が勝てば、結論は21年まで先送りとなる。トランプ大統領側の連邦政府と異なる環境規制をカリフォルニア州が設けることに対して、現在裁判で争っているからだ。21年に判決が出るといわれている。トランプ氏が選挙に勝ち、さらに裁判に勝てば、ニューサム氏の「新ZEV規制」はお蔵入りだろう。

 逆に民主党から立候補するJoe Biden(ジョー・バイデン)氏が勝てば、実現の可能性は高まる。国内自動車メーカー幹部は、「バイデン氏の自動車政策は、(民主党の牙城であるカリフォルニア州の)ZEV規制を全米に広げるようなもの」と分析する。同氏が大統領になれば、裁判自体を中止する可能性が高い。カリフォルニア州の独自規制は今後も継続し、ニューサム氏の提案が同州で容認されれば、35年を見据えた新ZEV規制は導入されるかもしれない。

 仮にエンジン車を排除する新ZEV規制が導入されれば、EVの販売比率は35年を待たずに米国全体で大きく高まりそうだ。米国の10州以上がカリフォルニア州のZEV規制を採用し、販売台数でみると3割超が「ZEV州」といわれるからだ。

 米Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)は、30年時点の米国新車販売におけるEV比率として現在25%と予測するが、「新ZEV規制が仮に導入されれば8ポイント高まり、33%になる」(ゴールドマン・サックス証券の湯澤康太氏)と、EVが大幅に増えると見通す。現在の米国市場で計算すれば500万台以上に相当し、巨大EV市場が誕生する。