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 茨城県は2020年10月2日、新型コロナウイルス感染情報を通知する県独自のシステムの利用を義務化する条例を施行した。自治体が独自の新型コロナ対策システムの利用を義務づけるのは「初めてのケース」(茨城県の大井川和彦知事)という。県は約10億円を投じて事業者と利用者向けの利用促進事業も始め、システムの普及に本腰を入れる。

 茨城県が条例で利用を義務づけたシステムの名称は「いばらきアマビエちゃん」。同システムでは県内の施設や店舗が事前に利用登録をしてQRコードを取得する。施設や店舗に訪れる人は、入り口などに置かれたQRコードを読み取って訪問履歴をメールで登録する。施設や店舗で新型コロナの感染者が発生すると、感染者と同日に同じ場所を訪れていた人へ感染情報などをメールで送る仕組みだ。

「いばらきアマビエちゃん」の使い方
「いばらきアマビエちゃん」の使い方
(出所:茨城県)
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 条例では県内の事業者にシステムへの登録とQRコードの掲示を義務づけた。対象は飲食店やカラオケ店など約90種類の施設だ。茨城県が2020年4~5月に休業を要請した施設を中心に選定した。大学以外の学校、病院、介護施設、食品スーパー、オフィスなどは対象に含まない。「既に感染対策を行っており、不特定多数の人が長時間集まるわけでもない」(茨城県産業戦略部)ためだ。

 県民に対しては、対象施設を訪れた際にQRコードを読み取ってシステムに訪問を登録することを、罰則は無いものの義務とした。条例ではシステムの利用だけでなく、県による行動調査や集中検査などへの協力も義務づけたほか、感染者や医療従事者などを差別的に取り扱うことを禁止した。

 罰則がないとはいえ、県が条例を整備してまでシステムの利用を求めるのは、2020年6月下旬のリリースからの約3カ月で普及が思うように進まなかったためだ。事業所全体の登録数は10月6日時点で約3万件。今回条例の対象にした業種に限ると普及率は約40パーセントと「目標に全然足りない」(茨城県産業戦略部)。利用者数は1カ月平均で約8万人にとどまり、茨城県の人口約280万人に対する普及率は3パーセントにも満たない。8月中旬には大井川知事が「意識の高い人たちの一部の取り組みで終わらせない」として条例化を明らかにした。