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 システムリソースが不足する時期の予測や、システム稼働リポートの作成など、熟練の運用担当者が担ってきた業務をAI(人工知能)が自動化する――。日立製作所がシステム運用に使用する新しいAIを発表した。グループの日立システムズのエンジニアと比べても遜色のない精度をAIが実現したとする。

傾向の変化を見つけて起こすべきアクションを提案

 システムの稼働状況を分析するAIは、日立製作所が2020年10月2日に発表した。同社が2017年6月から提供するIT運用支援サービスの「IT運用最適化サービス」に、システムリソースが不足状態に到達する日をAIが中長期的に予測する機能や、稼働中のシステムの問題点をAIが絞り込む機能を追加した。例えばAIは「CPU使用率が増えているサービス」や「空き容量が90日以内に不足しそうなディスク」などシステム障害につながりそうな問題点を絞り込んで教えてくれるという。

日立が2020年10月2日に新しく機能を追加したサービス(画像のNEWがついている部分)
日立が2020年10月2日に新しく機能を追加したサービス(画像のNEWがついている部分)
(出所:日立製作所)
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 日立はこれまでも「AI for IT Operations」との名称で、システム運用を自動化するAIを提供していた。従来のAIがシステム稼働データに生じた傾向の変化を自動的に見つけ出すものだったのに対して、新しいAIは傾向の変化を踏まえた上で、どのようなアクションを起こすべきかの判断までも自動化した点が新しい。

 「エンジニアの手をなるべく煩わせないで、機械でできることは機械でやる。エンジニアの知恵は原因調査などに振り向けたい」。日立製作所のアプリケーションクラウドサービス事業部運用マネジメント本部に所属する黒瀬秀人主任技師は、AIを開発した意図をこう語る。

 運用マネジメント本部の楠徹技師は「リソースの不足時期を予測したり、顧客ごとに異なる観点から報告すべき問題点を抽出したりするのは、これまで熟練のエンジニアが手動で行っており、負担が大きかった」と語る。今回発表したAIを利用することで、これまでSEが手作業で作成していた月次のシステム稼働リポートの作成が大幅に効率化できるとする。