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 「NTTドコモを親会社として、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)とNTTコムウェアを配下に再編する形を検討」――。NTTが、NTTドコモを完全子会社化した後のグループ再編シナリオがみえてきた。NTTが4.3兆円もの資金を投じてNTTドコモを完全子会社化する先にあるのは、さらなるグループ再編によるドコモの競争力の強化だ。再編に伴って事業会社間の心情の軋轢(あつれき)も予想される。「ワンNTT」を実現するためには社員の意識改革が欠かせない。

コムとの再編でインフラ二重投資解消、法人事業強化

 「完全子会社化によって、NTTドコモの競争力強化・成長を図る。ドコモはNTTコム、NTTコムウェアの能力を活用して、総合ICT企業として成長してほしい」――。NTT持ち株会社社長の澤田純氏は2020年9月29日、オンラインで実施した会見でNTTドコモを完全子会社化する狙いについてこう力説した。

ドコモ完全子会社化を発表するNTT社長の澤田純氏(左)
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ドコモ完全子会社化を発表するNTT社長の澤田純氏(左)
(出所:オンライン会見をキャプチャー)

 同社関係者によると水面下では既に、次にようなシナリオが検討されているという。NTTドコモのTOB(株式公開買付け)完了後、NTTドコモを親会社として、その配下にNTTコム、NTTコムウェアを再編するというものだ。

 ポイントはドコモとコムが持つネットワークインフラを統合し、インフラの二重投資を解消。コスト効率化につなげる点だ。ドコモは基地局の無線インフラに強く、コムはインターネットのバックボーンなどネットワークの中継インフラに強い。現在のところコムのネットワークインフラをドコモ側に移管する形が濃厚だ。

 もう一つドコモとコムで二重となっているのは法人事業である。こちらはドコモの法人事業を、コムの法人事業へと寄せる案が浮上している。同社関係者によると「従業員1人当たりの法人事業の生産性は、コムの方がドコモよりも倍高い」という。法人に強いコムの力を生かし、ドコモの法人事業の生産性を高めることが狙いとみられる。

 もっともこうした再編シナリオに対して、コム側からの反発も予想される。事業規模的には、NTTグループ内の稼ぎ頭であるドコモが親会社となって、新生ドコモグループをけん引する形が自然だ。だがコムはこれまで、NTTグループの中核としてドコモと同格の扱いをされてきた。ドコモ配下となった場合、社員の心情的な不協和音も聞こえてきそうだ。

 こうした課題を解決するためには、受け入れる側のドコモの意識改革が欠かせない。ドコモがNTTグループ内でもっと尊敬されるような立場になる必要がある。現状は「グループ内で最も保守的で改革のスピードが遅いのはドコモ」とNTTグループ幹部が指摘するように、ドコモの企業体質に対してグループ内から批判の声が上がる。長期的には親会社、子会社の上下関係がない純粋持ち株会社の傘下に、コンシューマー事業や法人事業、非通信のスマートライフ事業など、主要分野ごとに再編していく方向性も考えられる。

ドコモ社内も動揺、「これまでよりも自由度が増す」

 現時点ではドコモの社内も、NTTによる完全子会社化の衝撃を受け止めるのに精いっぱいの様子だ。「正直、社内はかなり動揺している」とドコモ社員は打ち明ける。