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 ゴムタイヤブランドの「ダンロップ」を展開する住友ゴム工業が、次世代の移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」を見据えて動き出した。2020年9月、車両リース会社やレンタカー会社、IT(情報技術)ソリューション会社と協業して、タイヤ内の空気圧や温度を遠隔で監視する「つながるタイヤ」サービスの実証実験を始めた(図1、2)。定期メンテナンスの負担を減らし、MaaS事業者の導入を促す狙いがある。将来的には、つながるタイヤの知見を自動運転車の技術向上に生かす。

図1 住友ゴム工業が手掛ける「ダンロップ」ブランドのタイヤ
図1 住友ゴム工業が手掛ける「ダンロップ」ブランドのタイヤ
(撮影:日経クロステック)
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図2 住友ゴムなどが始めたタイヤ状態の遠隔監視サービス実証実験
図2 住友ゴムなどが始めたタイヤ状態の遠隔監視サービス実証実験
(出所:住友ゴム工業)
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 MaaSは、多様なモビリティーをサービスでつないで移動の価値を提供する仕組み。例えば、鉄道やバスで長距離を移動し、最終目的地までの中・短距離の移動には、クルマや2輪車、自転車をシェアリングで使うというものだ。

 クルマの付加価値が所有から利用にシフトし、長期的には新車需要は縮小する公算が大きい。加えて、中国を中心とするアジアの新興メーカーが世界シェアを伸ばし、タイヤ業界の競争は過熱している。住友ゴムは、拡大が見込めるMaaS向けのタイヤに活路を見いだした。

 9月に始めた実証実験は、同社がMaaSで躍進するための鍵になり得る。対象地域は、福岡県や宮崎県、鹿児島県といった九州地方だ。新出光(福岡市)の車両リース事業「ラクのり」の車両30台に加え、イデックスオート・ジャパン(同市)のレンタカー事業「Budgetレンタカー」の車両500台にサービスを適用する。タイヤの情報をクラウドに上げて管理するコネクテッド技術は、トライポッドワークス(仙台市)が手掛ける。

 タイヤに搭載したTPMS(Tire Pressure Monitoring System、タイヤ空気圧監視システム)で内部の空気圧や温度などのデータを集める。運転者やサービス事業者は、クラウドを通してタイヤの状態を確認可能だ。定期メンテナンスの負担軽減という効果に加えて、適正な空気圧を保つことは車両の燃費向上にもつながる。

 同実証実験を基に、車両の安全性や経済性を高めるビジネスモデルをつくり込む。ゆくゆくは大規模なMaaS事業者向けに、つながるタイヤ本体とサービス運用を組み合わせて提供したい考えだ。タイヤの製造販売から、サービスの領域に食い込むことで高収益化を狙う。

自動運転車の技術向上に

 MaaSを視野に進める「つながるタイヤ」の実証実験。住友ゴムの次なる目標は自動運転車用のタイヤ開発だ。同社オートモーティブシステム事業部DWSビジネスチームチームリーダーの川崎裕章氏は「TPMSで収集したデータは自動運転車の技術向上に役立てられる」と意気込む。