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 ソフトバンクが月20ギガ~30ギガバイトのデータ量で月額5000円弱という新たな料金プランを提供する方向で検討していることが明らかになった。菅義偉政権が看板政策の1つとして強力に推進する、携帯電話料金の4割引き下げに呼応する動きとみられる。とはいえ実際には単純な値下げではなく、ソフトバンクのしたたかな戦略も透けて見える。

ソフトバンクが検討中という月額5000円弱の新料金は、単に菅政権の求めに応じた値下げではなく深遠な狙いがありそうだ
ソフトバンクが検討中という月額5000円弱の新料金は、単に菅政権の求めに応じた値下げではなく深遠な狙いがありそうだ
(撮影:日経クロステック)
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菅政権に配慮しつつ「引き下げ」回避か

 新料金は日本経済新聞が2020年10月13日付で報じた。4G(第4世代移動通信システム)向けの料金プランとして検討しており、10月中に方針を固めて早期に提供を始めるという。

 ソフトバンクは「現時点で決定した内容はない。(料金プランの見直しに対しては)引き続き真摯に検討していくが、(報道内容に対しては)臆測にはコメントしない方針でありコメントを控える」としている(10月13日時点)。菅政権や世論、NTTドコモやKDDI(au)といった競合の動向を踏まえて料金プランをさらに見直す可能性もあるが、ここでは報道通りの内容で新料金が発表されると仮定して、ソフトバンクの狙いを探っていく。

 仮に報道通りソフトバンクが月額5000円弱の新料金を投入すれば、月30ギガバイトで月額7150円というNTTドコモの大容量プラン「ギガホ」に比べて3割安い水準となる。とはいえ、必ずしも菅政権が求める「引き下げ」ではない。報道によると、月50ギガバイトまで使える月額7480円の現行プラン「メリハリプラン」はそのまま存続させ、メリハリプランのユーザーが同じ契約内容のまま月額5000円以下で使えるわけではないためだ。

 単純に既存プランの提供条件や対象ユーザーをそのままにして、料金のみを引き下げると経営へのダメージが大きくなる。通信3社の先陣を切る形で「3割安」の別プランを新設することで菅政権へ配慮しつつ、政権の求めに正対した「引き下げ」を余儀なくされる事態を回避する狙いとみられる。

ワイモバイルの大容量プランがアップセルの狙いどころ

 では、新料金は単に菅政権対策のパフォーマンスだけなのか。そうとも言い切れない。ソフトバンクの決算資料や既存の料金プランをひもとくと、報道されている新料金の位置づけにはしたたかな狙いが浮かび上がってくる。

 そもそもソフトバンクにとって新料金は、通信料金の引き下げを狙ったものではない可能性がある。同社が開示している携帯電話サービスの主要回線の平均単価(ARPU)は、2020年3月期で4420円、直近の2020年4~6月期で4300円であり、報道されている「5000円弱」という水準はそれを上回る。