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 「これから配達に行ってきます」。自動搬送ロボット「デリロ」はこうあいさつしてゆっくりと動き出した。日本郵便は2020年10月7日、東京都千代田区の公道でロボットによる配送実験を公開した。デリロはこの日歩行者とすれ違いながら人が歩く程度の速さで歩道を進み、信号を自ら判断して横断歩道を渡り、荷物を目的地まで自律走行して運んだ。日本郵便は実証実験の結果などを踏まえ、3年以内の実用化を目指すとしている。

 走行したのは東京都千代田区の東京逓信病院から麹町郵便局までの約700メートル。実験であることを周知する要員が先行するとともに、緊急時にロボットを操作する操作者と、ロボットの動作を止めるための緊急停止ボタンを持った保安要員が随走した。日本郵便が今回手掛けた近接監視・操作による配送ロボットの公道での実証実験は日本初の取り組みとなる。日本郵便は2020年10月末に遠隔での監視・操作によってロボットが単独で走行する実証実験を予定している。

車体前面の「目」の上にQRコードリーダーを備える。QRコードを読み取らせて荷物を出し入れする
車体前面の「目」の上にQRコードリーダーを備える。QRコードを読み取らせて荷物を出し入れする
(提供:日本郵便)
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 デリロはZMP(東京・文京)が開発した。縦約96センチ、横約66センチ、高さ約109センチと車いす程度の大きさだ。本体に荷物を入れるロッカーを備える。ロボット前面に設けたQRコードリーダーでスマートフォンなどに表示したQRコードを読み取りロッカーを開閉、荷物を出し入れする。

 ZMPは1人乗りロボット「ラクロ」を開発し、2020年10月1日から東京都中央区の月島エリアでシェアリングサービスを展開している。ラクロは登録した目的地まで自律走行するロボットで、今回日本郵便が公道実証に用いたデリロと仕組みは同じだという。ZMPの谷口恒社長は「ロボットの遠隔監視は絶対に必須だが、既にAI(人工知能)で長時間止まっているなどの異変を監視できるようになっている。時速3~4キロメートル程度なら4Gでも遠隔操縦が可能だ」と語り、運用に向けての技術的な課題はほとんどないとした。