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 新型コロナウイルス対策で全国の大学でオンライン授業が始まり半年がたった。一部では対面授業との併用が始まり、大学構内に教員や学生が少しずつ戻りつつある。そんな中で東京大学のグループが、学内向けに接触確認アプリを補完するアプリを開発した。まずは駒場キャンパスでの利用向けに2020年10月末に正式リリースする。

 アプリの名称は「MOCHA(Mobile CHeck-in Application、モカ)」で、教室や食堂、図書館などにあらかじめ設置したビーコン端末とBLE(Bluetooth Low Energy)で通信することで、ユーザーの教室などでの滞在履歴を記録する。ユーザーの同意に基づいて滞在記録などをサーバーにアップロードし、匿名化された情報を集約する。

ビーコンとスマホで位置情報を記録し、情報提示するMOCHAの仕組み
ビーコンとスマホで位置情報を記録し、情報提示するMOCHAの仕組み
出所:川原教授
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接触リスクを絞り込み

 MOCHAは厚生労働省が導入した接触確認アプリ「COCOA」を補完するものとなる。COCOAはスマートフォンのBluetoothを利用し、ユーザー同士の接触を検知し記録、新型コロナ感染症の陽性者と接触した可能性があるとユーザーにプッシュ通知をするが、場所などの情報はわからない。MOCHAを使うと、さらに場所情報を追加して、接触リスクを絞り込める。具体的にはMOCHAユーザーが陽性者となった際にユーザーの同意の上で同じ時間に同じ部屋にいたユーザーに滞在情報を共有する。

 アプリは9月末に試用版をリリース、修正を経てiPhone版とAndroid版いずれも10月末にも正式リリースする。まずは駒場キャンパスを対象に、新型コロナウイルスの感染者との接触確認ではなく、構内の教室や食堂の混雑状態などを確認するといった利用から始める。また、アプリから座席の自動予約などもできるようにする。

 学部1~2年生が所属する教養学部では今秋からオンライン授業のほか語学など一部の授業が対面となり、学生が教室を利用する機会が増えた。そこで、教養学部がある駒場キャンパス内で、授業で利用する130の教室にビーコンを設置するなどして準備を整えてきた。

アフターコロナに向けた位置情報インフラ

 MOCHAを開発したのは、東京大学大学院工学系研究科の川原圭博教授を中心とする教員や学生の有志グループだ。川原教授らが2020年5月頃に構想し、有志の学生らを募り開発を進めた。東大では新型コロナ禍での安全なキャンパス利用に向けたデータ利活用を議論する、工学系や情報系の教員らからなるワーキンググループが7月から稼働。この活動の一環として進めてきた。