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 「バブルは終わった。ある程度、製品のサポートや品質の担保、サービスを継続できる企業でないと生き残りは難しい」――。シャープのモバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」の担当で、同社通信事業本部営業統轄部市場開拓部部長の景井美帆氏は、コミュニケーションロボットの現状についてこう話す。

 人との対話や触れ合いを売りにするいわゆる「コミュニケーションロボット」製品の売れ行きはすっかり頭打ちになっている。2013~18年ごろの「第3次ロボットブーム」*1では新製品が続々と登場して世間を沸かせていた。ところが今や消費者の興味は一巡し、企業も冷静な眼でロボットを見つめている。

*1 ここでは、産業用ロボットが発展した1980年ごろを第1次ロボットブーム、ソニーの犬型ロボット「AIBO(アイボ)」やホンダの「ASIMO(アシモ)」が登場した2000年ごろを第2次ロボットブームとしている。

人型ロボット「Pepper(ペッパー)」
人型ロボット「Pepper(ペッパー)」
第3次ロボットブームを象徴するロボットの1つ。「自らの感情を持つロボット」として2015年に発売された。ソフトバンクロボティクス(東京・港)によると、これまで「国内販売は1万台以上、約2500社が導入した」。(出所:日経クロステック)
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 その間、ロボットベンチャーの撤退も相次いだ。例えば、米Jibo(ジーボ)の家庭用ロボット「Jibo」。シンプルな構造ながら体をくねらせるような動きで親しみを感じさせるのが特徴でKDDIや電通といった日本企業からも出資を集めた。ところが、2017年の発売からわずか1年後に事業を停止。タカラトミーが国内販売した玩具ロボット「COZMO(コズモ)」の開発元である米Anki(アンキ)も、2019年に倒産している。

家庭用ロボット「Jibo」
家庭用ロボット「Jibo」
高さ約28cm、質量約2.7kg。メッセージ読み上げや写真撮影の機能を持つ。シンプルな構造ながら体をくねらせる動きで親しみを感じさせる特徴があった(出所:KDDI)
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 逆風の1つとなったのは、同時期に普及した「Amazon Echo」や「Google Home(現在のGoogle Nest)」といったスマートスピーカーだろう。音声対話でクラウドサービスを呼び出すサービスという点でコミュニケーションロボットの競合である。価格も安く、可動部を持つロボットのおよそ10分の1。大手IT企業のサービスだけあって、使い勝手もよい。サードパーティーの参入でできることもどんどん増えている。

 そうした中、コミュニケーションロボット事業を継続する企業は、あの手この手で生き残りを模索している。