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 米IBMがシステム運用事業などの分社化を決めた。「新生IBM」はクラウドと人工知能(AI)に集中する。しかし競合ひしめくクラウド市場で存在感を示すのは容易ではない。

 「今こそ、得意分野に注力し市場をリードする企業2社を設立する絶好の機会だ」。米IBMのアービンド・クリシュナCEO(最高経営責任者)は2020年10月8日(現地時間)に発表した会社分割の狙いをこう説明した。

アービンド・クリシュナCEOは大胆な会社分割に打って出た
アービンド・クリシュナCEOは大胆な会社分割に打って出た
(写真提供:米IBM)
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 IBMは2021年末までに、グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)部門から顧客企業のシステム運用受託やネットワーク構築などの事業を切り離す。分割会社の売上高は190億ドルで、分割前の全社売上高の4分の1に相当する。分割会社も上場させる方針だ。日本IBMも本社に従って分割する。

 IBMによると、分割会社は「マネージド・インフラストラクチャー・サービス」と呼ばれる市場で世界最大手になるという。ITインフラの管理やシステム運用、各種のアウトソーシングなどから成る分野だ。115カ国・地域で約4600社と取引があり、受注残は600億ドル。IBMは分割会社が手掛ける事業について「5000億ドルの市場機会がある」と見込む。

 一方、「新生IBM」はクラウドやAIに注力する。特にオンプレミスや複数のクラウドサービスを組み合わせたハイブリッドクラウド事業に経営資源を重点的に振り向け、生き残りを目指す。

米IBMの売り上げ構成(2019年)
米IBMの売り上げ構成(2019年)
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 「私たちの将来への重要な転換点だ」。米IBMのジム・ホワイトハースト社長は2020年10月22日に開いたオンライン説明会で、会社分割の意義をこう強調した。ホワイトハースト社長は米レッドハットのCEOを務めた経験を持つ。「(分割後の)IBMはオープンハイブリッドクラウドとAIに注力し、より利益率の高い企業になる。新会社は複雑な基幹系システムのインフラの運用を担う。おのおのの得意分野に集中することで、大きな価値が生まれる」(同)。