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 「我々が目指すのは(ヘルスケアサービスを提供する)『HaaS:Healthcare as a Service』カンパニーであり、製薬企業ではない」(塩野義製薬の手代木功社長)――。塩野義製薬が医療プラットフォームとAI(人工知能)技術を保有する中国平安保険グループと合弁会社「平安塩野義」を立ち上げ、2020年10月13日に事業計画を発表した。製薬業界全体がデジタルトランスフォーメーション(DX)や医薬品以外の取り組みを加速させているが、日本の製薬企業が中国の金融・IT企業と合弁会社を設立するのは珍しい。

合弁会社は中国平安保険グループの医療プラットフォームを通じて新規事業を展開する。
合弁会社は中国平安保険グループの医療プラットフォームを通じて新規事業を展開する。
(出所:PIXTA)
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 平安保険グループは医療プラットフォームの「平安グッドドクター」を提供している。平安グッドドクターは3億4600万人が利用しており、利用者はアプリを通じてオンライン診療や医療機関の紹介、予約、セカンドオピニオン、医薬品の配送などのサービスを受けられる。中国にある約50万の薬局のうち11万以上の薬局と提携する他に、一般用医薬品(OTC)を販売する約3000台の自動販売機を展開中という。

 塩野義製薬が合弁会社を通じて最初に取り組むのは、同社の医薬品を平安グッドドクターのプラットフォームに組み込んで販売することだ。OTCや健康食品も含めて20品目以上を供給する。OTC関連では2022年度に175億円、2024年度に200億円の売り上げを目指す。

 また、2022年度に中国で抗菌薬の承認取得を見込んでおり、オンライン診療と連携して提供していく。抗菌薬を含む新薬や後発品の販売で2022年度は230億円、2024年度は500億円の売り上げを見込む。他にも塩野義製薬が注力する感染症領域のワクチンの開発なども中国で実施する方針だ。

 合弁会社はデータを活用した研究にも取り組み、個別化した治療を提案する仕組みの構築を目指す。平安グループが手掛けるスマートシティー事業などと連携し、人の行動パターンや活動量、睡眠、音声などの生活データを取得。遺伝子情報や脳機能などの検査データ、治療効果の結果を関連付けて解析する。解析結果は新しいヘルスケアサービスの創出や、医薬品の研究開発に役立てる。