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 「グローバルにおける情報通信技術の進展や米中問題など(経営環境は)目まぐるしく動いている。(NTTドコモは)モバイルだけでなく、AI(人工知能)やクラウド、プラットフォーム、アプリなども含め、もっと視野を広げて対抗していかなければならないと感じていた」。

 NTTドコモが2020年10月29日に開いた、2020年4~9月期連結決算(国際会計基準)のオンライン説明会。2020年11月の退任を前に、社長として最後となる決算会見に臨んだ吉沢和弘社長は、まるでドコモ社員に向けて語りかけるかのように、こう述べた。

NTTドコモの上場会社として最後の決算会見に臨む吉沢和弘社長
NTTドコモの上場会社として最後の決算会見に臨む吉沢和弘社長
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「最後の決算発表」に見えた芽吹き

 ドコモが上場会社として決算を発表するのも今回が最後となる。親会社のNTTが2020年11月16日まで実施中のTOB(株式公開買い付け)が成立すれば、ドコモはNTTの完全子会社になり、上場廃止となる見通しだからだ。

 上場会社としての、そして現経営体制での締めくくりとなる今回のドコモ決算。業績の数値から浮かび上がるのは、ドコモが吉沢社長の言う「モバイルだけでなく、もっと視野を広げて対抗する」会社に生まれ変わろうともがいている実態だ。

 売上高に当たる営業収益は前年同期比2%減の2兆2825億円と減収だった。2019年6月導入の料金プラン「ギガホ」「ギガライト」による大規模な顧客還元、新型コロナウイルスの感染拡大や改正電気通信事業法の施行に伴う端末販売減、国際ローミング収入の減少が響いた。

 こうした落ち込みを利益面でカバーしたのが非通信事業だ。決済や金融、会員サービスなどが堅調で営業利益は同4%増の5636億円と増益だった。近年のドコモが通信の「次」の成長に向けてまいた種が芽吹いている。