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 SUBARU(スバル)の新型「レヴォーグ」は、前後のドアを閉まりやすくした。ドアは重くすると閉まりやすくなるが、高齢者や女性などにとって重いドアは閉めにくい。ドアの質量増加は、燃費性能に悪影響を及ぼす問題もある。新型車では、ドアの質量増加を抑えながら閉まりやすくした。同じ車格の欧州車と同等の閉まりやすさを実現できたという。スバルはどのようにして、新型車のドアを閉まりやすくしたのか。同社の取り組みを追う。

 ドアはクルマを使っているときに、何度も開け閉めする。毎日クルマを使うユーザーにとって、ドアが閉まりにくいとストレスになる。両側にクルマが止まっている駐車場ではドアを全開にできないため、ドアを確実に閉めるには強い力が必要になる。

 ユーザーによっては、クルマから離れながらドアを閉めることもある。こうした閉め方をすると、「半ドア」(完全に閉まっていない状態)になりやすい。ドアの閉まりやすさは、実際に閉めてみると分かりやすい。販売店での来店客への訴求点(商品力)の1つとしてスバルは、ドアの閉まりやすさの改善に着目した(図1)。

レヴォーグ
図1 新型「レヴォーグ」
6年ぶりに全面改良した。商品力を強化する対策の1つとして、ドアを閉まりやすくした。(撮影:日経Automotive)
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閉まりにくかったスバル車のドア

 スバル第一技術本部外装設計部で主査の山下大輔氏は、「先代レヴォーグを含むスバル車のドアは、国内外の他社の車両(同じ車格の車両)に比べて軽いため、閉まりにくかった」と明かす。

 また、スバル車は車内空間をできるだけ広くするため、「戸当たり間寸法」を短くしている。戸当たり間寸法とは、ドアが閉まった状態でのドア側とボディー側の間隔(隙間)のこと。「この寸法が短いと、ドアは閉まりにくくなる」(山下氏)という注1)

注1)ドア側とボディー側の隙間(ルーフ・サイド・レールの室内側)には、ゴムのシール材が装着されている。同シール材は、ドアを閉めるときの抵抗(エアタイト)となる。シール材の容積が大きいほど、ドアを閉めるときの抵抗は小さくなる。ボディーを大きくせずに車内空間を確保しようとすると、戸当たり間寸法が短くなって、シール材の容積が小さくなる。その結果、ドアを閉めたときの抵抗が大きくなり、ドアは閉まりにくくなるという。

 静粛性を確保するため、車内の気密性も高くなっている。エアベントを介して車内の空気を抜いて気密性を低くすると閉まりやすくなるが、騒音が大きくなる。気密性を下げると、エアコンが利きにくくなるという課題もある。