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 新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業が、テレワークへの移行を突然余儀なくされた。ただシステムや業務フローなど、何らかのしがらみがあってうまく移行できない企業も少なくない。調剤薬局大手の日本調剤は、「電話番号を変えられない」という課題を乗り越えヘルプデスク部門のテレワーク移行に成功した。

 「全国の店舗から電話が入るため、何としても電話番号を変えずにテレワークに移行する必要があった」――。日本調剤の侭田光広システム第一部係長はヘルプデスク部門のテレワーク移行についてこう語る。

日本調剤の侭田光広システム第一部係長
日本調剤の侭田光広システム第一部係長
(撮影:日経クロステック)
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 日本調剤は2020年4月、政府の緊急事態宣言を受けて本社部門を対象にテレワークを本格的に取り入れた。部門ごとに出社率を3割に抑える目標を掲げたが、そこで課題となったのがパソコンの不具合などを受け付けるヘルプデスク部門の移行だった。

 同部門は全国約670の調剤薬局や本社、支店などから入る月間1000~1200件の問い合わせを一手に引き受ける。従来は本社のヘルプデスク専用の電話番号にかかってきた電話を5人のメンバーが対応していた。

 テレワークに移行すると当然、電話を受けられなくなる。携帯電話にかけてもらう手段も考えられるが、全国に店舗網を持つ同社にとって電話番号1つを変えるだけでも影響は大きい。まして医療用医薬品を扱う薬局が、電話番号が変わってしまったことで緊急の対応が求められるヘルプデスクに連絡できなくなる事態は避けなければならなかった。

 「固定電話への着信を携帯に転送する手段もあるが、電話が1人に集中する上にメンバーの稼働状況が見えなくなり現実的ではなかった」と侭田氏は説明する。同社はヘルプデスクの電話番号を変えず、さらにメンバーの運用を大きく変えずにテレワーク移行することにこだわった。