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 マツダが2020年10月8日に日本で発売した小型SUV(多目的スポーツ車)の新型「MX-30」は、観音開き(中央開閉式)のドアを採用した。開度は前部ドアが82度、後部ドアは80度と広い。乗員の乗り降りや荷物の積み下ろしをしやすくしたほか、ベビーカーや車椅子の使用者にも配慮した使い勝手の良さを実現した(図1)。

小型SUVの新型「MX-30」
図1 小型SUVの新型「MX-30」
観音開きのドアを採用した。(撮影:日経Automotive)
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 「新しい価値を提供するという新型車の開発コンセプトを実現するため、観音開きドアは優先順位が最も高かった」──。マツダの車両開発本部車両開発推進部で副主査の森谷直樹氏は、新型車に観音開きドアを採用した背景をこのように語る。

 ただ、片開きのドアを使う通常の車両では、側面衝突の衝撃荷重を主にセンターピラーで受け止める構造になっている。これに対して、観音開きドアではセンターピラーがなくなるため、このままでは世界の側面衝突基準への対応が難しくなる。

 この課題を解決するため新型車では、(1)ドアの垂直方向のフレームをセンターピラーの代わりに使う、(2)高張力鋼板を多用することなどでドア開口部のボディー骨格強度を高める──という対策を施した。これにより、「米国や欧州の自動車アセスメントにおける側面衝突試験の基準に対応できている」(森谷氏)という。

 前者の対策では、後部ドアの垂直方向のフレーム部(前部ドアの垂直方向のフレームと接する部分)に、「バーティカルレイン」と呼ぶ補強材を追加した。引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)製である。

 この補強材で側面衝突の衝撃荷重を受け止め、ドアのロック機構部品やヒンジ(ドアをボディーに固定する部品)などを介して、衝撃荷重をドア開口部の骨格に逃がす(図2)。

後部ドアに配置した補強材
図2 後部ドアに配置した補強材
センターピラーの役割を代替する。(出所:マツダ)
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 ただ、ロック機構部品やヒンジの構造上、部品自体の荷重の伝達効率を高めるのは難しい。また側面衝突では、ドアの下部が相手車両との衝突位置になる。そのため、補強材の寸法を工夫して、衝撃荷重を補強材自体で吸収しやすくした。

 具体的には、補強材の下部の幅を上部より広くした。「下部の幅は上部よりも1.3倍以上広い」(森谷氏)という。補強材は、マツダ系部品メーカーのヒロテックと共同開発した(図3)。

補強材の構造
図3 補強材の構造
衝撃荷重を補強材自体で吸収しやすくするため、上部よりも下部の幅を広くした。(出所:マツダ)
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