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 マツダが、2020年から厳しくなった欧州環境規制の罰金を回避する見通しだ。数百億円規模に罰金が膨らむとの試算が飛び交い、日系自動車メーカーで最も影響を受けるとの見方があった。20~21年は、新型電気自動車(EV)の投入や資本提携するトヨタ自動車との協業で乗り切る。22年以降は、新型プラグインハイブリッド車(PHEV)の投入などにより、単独で規制達成する考え。規制対応にめどをつけた後、「EV時代」への備えを本格的に始める。

MX-30が欧州環境規制対応に大きな役割を担う
MX-30が欧州環境規制対応に大きな役割を担う
(出所:マツダ)
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 マツダ副社長執行役員の藤原清志氏が、日経クロステックの取材で明かした。欧州は20年から、二酸化炭素(CO2)排出量を企業平均で95g/km以下(車両質量によって変動)にする規制を導入した。1g/km超過すると95ユーロ/台と多額の罰金がかかり、極めて厳しい注1)。欧州各社はCO2排出量をゼロとみなせるEVや優遇措置のあるPHEVを相次いで投入し、罰金の回避に躍起になっている。

注1)20年の罰金額が確定するのは、22年までかかるとみられている。

 マツダはかねて高効率ガソリンエンジン「スカイアクティブX」や簡易ハイブリッド車(MHEV)などに力を注いできた。20年9月には「MX-30」のEVを欧州に投入して、規制対応を本格化した。加えてCO2排出量の少ないトヨタと合算する「オープンプール」の申請が規制当局に認められると、20年の罰金を回避できる見通しである。20年はマツダ以外にホンダなど多くの企業が、オープンプールの利用を申請している注2)

注2)オープンプールを利用する際の企業間の取引契約は公表されない。金銭や技術、車両などいろいろな取引があるとみられる。

マツダ副社長執行役員の藤原清志氏
マツダ副社長執行役員の藤原清志氏
(写真:橋本正弘)
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 21年になると、規制がさらに厳しくなる。20年は域内で販売した95%の車両が対象だが、21年から全車に広がる。またCO2排出量を算定する走行モードが、従来のNEDC(New European Driving Cycle)から新しいWLTC(Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle)に変更されることも大きい。

 藤原氏は「(21年は)少し苦しい」とこぼすが、「内燃機関の飽くなき改善や年間を通してMX-30を販売できること」が貢献する。加えて、トヨタから小型車「ヤリス」のハイブリッド車(HEV)の供給を受けて、21年度以降に投入することが寄与する。ヤリスHEVのCO2排出量は、84g/kmと少ない。その上でトヨタとのオープンプールを続けることで、罰金を回避する算段である。