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 2022年度の実現を目標に、マイナンバーカードの一部機能をスマホに搭載する検討が始動した。総務省が2020年11月10日に立ち上げた有識者会合で検討に着手しており、2021年に必要な法改正や実証実験を実施する計画だ。

 総務省がスマホへの搭載を検討するのは、マイナンバーカードが備える機能のうち、オンライン申請などで申請者が本人であることを証明する電子証明書の機能である。現在は政府が用意する住民向けオンライン申請の多くで、手続きのたびにマイナンバーカードをリーダーやスマホにかざす手順を踏む必要がある。電子証明書をサーバーに送信し、本人性を確認するためだ。

総務省の有識者会合で検討されているマイナンバーカード機能のスマホ搭載の概要
総務省の有識者会合で検討されているマイナンバーカード機能のスマホ搭載の概要
(出所:総務省)
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 電子証明書をスマホに格納できれば、手続きのたびにカードをかざす必要がなくなる。スマホだけで手続きが完結でき、オンライン申請の利便性が大きく高まる。

 現在の総務省案によると、同機能を利用できるのは、マイナンバーカードをすでに持つ人が対象だ。初回はマイナンバーカードをスマホにかざして本人確認をしたうえで、専用アプリを通じてマイナンバーカードとは別の電子証明書の発行を新たに受け、スマホに格納する。次回以降はこの電子証明書をオンライン手続きの大半でマイナンバーカードの代わりとして利用できるようにする。

 ただし実現や普及に向けた課題もある。当面の大きな課題は、対応端末が限られる可能性がある点だ。日本で普及している米Apple(アップル)の「iPhone」は2020年秋発売の最新機種を含め、対応できるかどうかまだ確認が取れていない。Android端末も2年以上前の機種になると対応機種が一気に減るとみられる。

電子マネーなどと同じセキュリティー機能を利用

 スマホへのマイナンバーカード機能の搭載は、実は5年越しの懸案事項だった。総務省は2016年1月のマイナンバーカード交付開始に先行し、2015年に検討会を立ち上げている。

 しかし、当時検討していた携帯電話のSIMカードを活用する方式は、2017年ごろに困難なことが判明した。SIMカードのセキュリティー機能を備えた空きメモリー領域「セキュアエレメント(SE)」を使うには、SIMカードを制御する携帯電話事業者の協力が必要。頓挫した理由の1つは、携帯電話事業者がSIMカードの第三者への開放を縮小もしくは廃止する方向へと動いていたからだ。SIMカードのSEの利活用が進まず、サーバーなどの設備コストが重荷になったためという。

 そこで総務省が今回検討するのが、スマホに組み込まれた非接触ICカード「モバイルFeliCa」の付加機能を利用する方法だ。交通乗車券や電子マネー機能でも使われているモバイルFeliCaのセキュアエレメント(FeliCa-SE)を使う。

モバイルFeliCaの機能に電子証明書を搭載する概要
モバイルFeliCaの機能に電子証明書を搭載する概要
(出所:総務省)
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 マイナンバーカードはICチップの空き領域に秘密鍵と公開鍵のペアと電子証明書などを格納している。特に秘匿する必要がある秘密鍵はICチップから取り出そうとするとチップが破壊される耐タンパー性の機能を持たせている。FeliCa-SEならばこれに準じるセキュリティーを確保できると判断した。

 ただし、モバイルFeliCa対応のスマホがすべて対象になるわけではない点に注意が必要だ。総務省は対象スマホとして、2019年2月に正式公開された最新の組み込み型非接触ICカードに対応した機種を想定して機能を開発する方針だからだ。