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 欧州SAPのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP ERP(別名SAP ECC 6.0、以下ECC)」の標準サポート期間が2027年末に終了する。2025年末だった標準サポート期間は2年延長されたものの、いまだに多くのECCユーザー企業が最新版のSAP S/4HANA(以下、S/4HANA)に移行できていないのが現状だ。

 しかもS4/HANAへの移行はプロジェクトが長期化してしまうことが多い。例えばECCを10年以上使うと、蓄積する業務データ量が数十テラバイトにおよぶケースもある。富士通の北沢誠EBAS事業本部 第一ソリューション事業部 第二ソリューション部長は「データ移行を含めると、刷新には一般に1年以上を要してしまう」と説明する。

 こうした現状を打破すべく富士通は独シュナイダー・ノイライター・アンド・パートナー(SNP)とパートナーシップを締結。SNPが提供するデータ変換プラットフォーム「CrystalBridge(クリスタルブリッジ)」を活用したS/4HANAへの移行サービス「SAP S/4HANA BLUEFIELDコンバージョンサービス」を世界的に展開していく。

移行への第4の手段

 これまで移行には大きく3つのアプローチがあった。新規にS/4HANAを導入する「Green Field(グリーンフィールド)」、ECCのパラメーター設定やデータなどをS/4HANAに引き継ぎリビルドする「Brown Field(ブラウンフィールド)」。そしてユーザーが選んだECCの設定や業務データだけをS/4HANAに移行する「選択データ移行」である。このアプローチは欧州SAPが提供する。

 3つのアプローチには一長一短がある。グリーンフィールドはS/4HANAの新機能が利用できるようになるが、作業工数やコストが増加する。移行には1~2年以上を要するのが一般的だ。ブラウンフィールドは現行業務を踏襲できる半面、S/4HANAに実装された新機能が利用しづらい。移行の付加価値が少ないにもかかわらず、移行には1~2年を要するという。

 選択データ移行はECCの資産を引き継ぎつつS/4HANAの新機能を使いたいというユーザー企業の要望を満たせるが、パートナー企業ではなくSAPジャパン自らがサービスを提供する。欧州SAPが開発したツールを使い、顧客と直接対話してECCとS/4HANAのデータテーブル同士でデータを直接移行するためだ。ただし「SNPが提供するツールと比較すると汎用性が乏しく個別最適になる。プログラムをいちから書かなくてはいけないことも多い」(SNP Japanの横山 公一CTO)という。