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 独Audi(アウディ)が、二酸化炭素(CO2)の排出と吸収を同じにするカーボンニュートラル(炭素中立)の実現に力を注いでいる。世界5工場のうち、これまで2工場で早くも実現した。欧州で検討が進む、自動車のライフサイクル全体でCO2排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)規制の導入に備える。

2018年から電気自動車を生産するベルギー・ブリュッセル工場で、カーボンニュートラル(炭素中立)を実現した(出所:Audi)
2018年から電気自動車を生産するベルギー・ブリュッセル工場で、カーボンニュートラル(炭素中立)を実現した(出所:Audi)
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 Audiは、独Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループで先進的な研究開発を担う。Audiが実現したカーボンニュートラル工場の経験を、今後グループ全体に波及させるとみられる。

 2020年11月23日、カーボンニュートラルに向けた取り組みの進捗を発表した。Audiは25年までに、世界の工場でカーボンニュートラルを実現する目標を掲げている。LCAの観点で、車両生産時のCO2排出量を減らす取り組みは重要になる。

 18年から電気自動車(EV)「e-tron」を生産するベルギー・ブリュッセル工場で達成し、20年10月にはハンガリー・ジェール工場でも実現したと発表した。残る3工場(独インゴルシュタット工場、独ネッカーズルム工場、メキシコ・サンホセチアパ工場)についても順調で、現段階では取り組む前に比べて70~75%の排出量削減を実現しているという。

Audiはハンガリーの工場でも炭素中立を実現したという。屋根には太陽光発電を敷き詰めた。地熱発電なども利用したという(出所:Audi)
Audiはハンガリーの工場でも炭素中立を実現したという。屋根には太陽光発電を敷き詰めた。地熱発電なども利用したという(出所:Audi)
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 走行中だけを評価する現行規制でEVのCO2排出量はゼロだが、LCAでは製造時や発電時などの排出量が加わる。EVの排出量を減らすには、再生可能エネルギーを使って車両を組み立てることが重要になる。欧州では30年以降を見据えて、LCA規制を導入する検討を進めている。

 自社の取り組みに加えて、Audiは自動車サプライチェーン(供給網)におけるCO2排出量削減にも熱心だ。LCA規制がサプライチェーンのどこまで考慮するのか分からないが、今後、部品メーカーにカーボンニュートラルを求める動きが広がる可能性がある。