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 IT子会社にとって親会社のレガシーシステムを保守・運用するのは欠かせない業務だ。しかしメインフレーム市場は徐々に縮小する傾向にある。今後、これまでと同様に親会社の保守・運用の業務が続くとは限らない。レガシーシステムだけでなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材育成も急務だ。

 こうした状況に危機感を募らせるIT子会社は多い。大手生命保険会社のIT子会社も例外ではない。既にさまざまな施策を講じて、IT人材のスキルアップに取り組んでいる。例えばスミセイ情報システムはレガシーシステムの保守・運用するエンジニアに研修を施し、DX人材の育成を進めている。

 現場のITエンジニアが草の根で発案した施策もある。生保IT子会社が合同で開催するハッカソンだ。ハッカソン(Hackathon)は「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を組み合わせた造語で、ソフトウエア開発者が短期集中型で開発に取り組むイベントである。

意見交換の場が合同開催のきっかけに

 「メインフレームの保守・運用が主業務のITエンジニアにとって新しい技術に触れるきっかけを作りたかった」――。スミセイ情報システムの企画部に所属する稲留隆之チーフはハッカソンの開催意義をこのように説明する。同社は2019年に社内で3日間にわたりハッカソンを開催。稲留チーフらが社長に直談判して開催にこぎつけた。「経営層も同じ課題を感じていたので、開催の決定はスムーズだった」(稲留チーフ)。

 同社の取り組みを国内生保のIT子会社が集まる情報交換会で発表したところ、第一生命情報システムと合同でハッカソンを企画することになった。「メインフレームの保守・運用だけではいけないという共通の課題を感じていた」(稲留チーフ)。

 第一生命情報システムの綿引みのりStudio Xedge Section Chiefは「専門特化したITエンジニアが新技術やアイデア創出にチャレンジするようにマインドチェンジするきっかけになる」と説明する。イノベーションの創出をゴールとするハッカソンのプロセスに触れ、新たな人材を育成する考えだ。

 当初は複数の生保IT子会社でハッカソンを開催する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でスミセイ情報システムと第一生命情報システムの2社がオンラインで2020年11月から12月にかけて開催することになった。ハッカソンのテーマは「ニューノーマル」。コロナ禍で変化する新しい働き型を助けるプロダクトのプロトタイプ開発を目指す。