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製造業はデジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れているといわれる。
ITの導入は進んでいるものの、現場ごとの管理にとどまり、全体を通したDXにはなかなか発展しないというのが実情だ。
中小企業診断士を中心として製造業でのDX推進担当者やコンサルタントが集まる
「生産革新フォーラム」のメンバーに、製造業DXの実態を話してもらった。
生産革新フォーラム
中小企業診断士や企業の実務担当者などの会員による研究成果の発表・講演を通じて、製造業における最新のシステム化状況や、製造業のシステムを支える新しい情報技術の研究を目的とする団体。東京都中央企業診断士協会中央支部に登録されている。

司会:みなさんの会社では、DXは進んでいますか? どんな状況かお聞かせください。

たてわり氏――当社(電子機器メーカー)のトップはDXとか最新ITの導入について意欲的で、トップからDX取り組みの指示が降りてきます。しかし現場では、革新的な戦略を具体的にはなかなか描けないのが現状です。

(出所:日経クロステック)
(出所:日経クロステック)
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 社内の営業、調達、工場の各部門が縦割りになっていて、システムも分断されている状態で、個別に非常に細かく業務のルール化が進んでしまっています。営業から工場への生産量の内示や、部材の調達、生産計画の立案などは全て「Excel」(米Microsoft、表計算ソフト)ベースです。「どの製品がどれぐらい仕掛かっているか」「欠品の製品の受注残はどの程度か」といった状況もExcelのワークシート(以下Excelシート)を見ないと分かりません。職人技に頼る工程があり、そこでボトルネックが発生して欠品になってしまう場合もあります。結局、力業で生産しているのが現状です。

 全体を俯瞰(ふかん)して調整できる生産管理システムが必要なのですが、そうしたシステムを構築・運用できる人材が不足しており、同時に部門間連携をしようとしてもかなり抵抗を受けるという問題があります。既存のシステムを取り込みつつ、新しいシステムを導入していくことは、かなり困難です。CIO(最高情報責任者)はいますが、あまり機能していません。