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 ついに販売が始まった国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」。製造販売を手掛けるメディカロイド(神戸市)は今後、どのような事業展開をしていくのか――。同社が2020年11月18日に開催したhinotoriの製品発表会では、先行品の手術支援ロボット「da Vinci(ダビンチ)サージカルシステム」との比較や差異化のポイントを確認する質問が相次いだ。説明会にはメディカロイドの出資元である川崎重工業の社長執行役員の橋本康彦氏とシスメックスの会長兼社長の家次恒氏も登壇した。

国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」
国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」
(写真:日経クロステック)
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 メディカロイドは2020年8月にhinotoriの製造販売承認を取得し、9月に保険適用が認められた。まずは泌尿器科領域を対象に販売する。今後手術で利用する器具の種類を増やして承認を得ることで、適用できる診療科を増やす。日本を含めた世界の手術支援ロボットの市場は、米Intuitive Surgical(インテュイティブサージカル)のダビンチがほぼ独占している。このダビンチ1強の市場に国産ロボットのhinotoriが参入したというわけだ。

 hinotoriはダビンチと同様に、専用の装置に座った医師がロボットアームに支えられた手術器具を遠隔で操作する。「hinotoriの強みは病院が専用の手術室を用意する必要がないことだ。(ロボットのサイズがコンパクトのため)従来の手術室内で十分使える」(川崎重工業社長の橋本氏)。具体的にはロボットアームを人の腕ほどの細さに設計した。また、ロボットアームの関節数を増やして動きの自由度を高め、アーム同士やアームと人との干渉を生じにくくしている。

 メディカロイドは手術支援ロボットを普及させるため、買い取り以外にもリースなど様々な支払いパターンを用意する。手術件数が少ない病院は、導入コストが高い手術支援ロボットの購入をためらう場合がある。そこで病院の状況によっては「手術ごとに支払ってもらうこともあり得る」とメディカロイド社長の浅野薫氏は明かす。

 メディカロイドは、ダビンチを導入済みの病院に対してもアプローチする。日本の手術支援ロボットの市場は2030年には1100億円になるとの試算がある。今後ロボットを活用した手術の件数が増え、1台では足りず追加購入に動く病院があると見込む。

 将来的には海外でも承認を取得して販売する方針だ。hinotoriの総販売代理店を担当するシスメックス会長の家次氏は「我々が持つ世界の販売ネットワークを生かして届けていきたい」と話した。メディカロイドは海外での販売や周辺製品の拡張などを進め、2030年度に売上高1000億円を目指す。