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 2020年夏以降、仮想的なオフィスで複数のユーザーがコミュニケーションを取りながら仕事を進められる「仮想オフィスサービス」が続々と登場している。

 富士通は2020年12月中にも、働き方改革関連ソリューション「FUJITSU Work Life Shift」の1つとして、仮想的な空間でアイデアなどを共有しながらブレーンストーミングなどができる「FUJITSU Collaboration Space」の提供を始める。これに先立って2020年8月にはNTTコミュニケーションズが「NeWork」、NIMARU TECHNOLOGYが「oVice」、テンナイン・コミュニケーションが「Synergy Global 4U」、日立ソリューションズが「Walkabout Workplace」をそれぞれ提供し始めた。

「NeWork」の画面例
「NeWork」の画面例
(出所:NTTコミュニケーションズ)
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 仮想オフィスサービスはこれまでもイグアスやテレワークマネジメントが「Sococo」を、ソニックガーデンが「Remotty」を、それぞれ提供してきた。2019年秋にはOPSION が「RISA」を、ラウンズが「roundz」の提供をそれぞれ開始。2020年夏に入って新サービスが相次ぎ登場し、仮想オフィスサービス市場が活気づいている。

 各社が提供するのは、2次元や3次元の仮想的なオフィスだ。同じ部署やチームのメンバーとコミュニケーションを取りながら仕事を進められる。多くのサービスでは、アイコンやアバターで表現したユーザーが2次元や3次元の仮想的なオフィスを自由に動き回れるようにしている。

 「アイコンやアバター同士を近づける」「他のユーザーのアイコンなどをマウスでクリックする」といった簡単な操作で、他のメンバーと音声チャットなどでコミュニケーションを取ることができる。必要に応じてビデオ会議を開いたり、パソコンのデスクトップ画面を共有したりできるサービスも多い。

 仮想オフィスの「賃料」とも呼べるサービスの利用料金は各社によって異なる。1ユーザー当たり2000円前後で料金を設定しているサービスが多いようだ。

在宅勤務の普及で他の社員の状況把握や雑談がしづらく

 各社が仮想オフィスサービスを提供する背景には、新型コロナウイルス対策として在宅勤務をはじめとするテレワークが普及したことで「他の社員の状況をつかみにくい」「雑談や相談がしづらい」といったコミュニケーションの課題が出てきたことがある。

 「他の社員の状況をつかめない」といった課題に自社でも直面したのがWalkabout Workplaceを提供する日立ソリューションズだ。同社のある事業部門が出社勤務から在宅勤務へ切り替えた後にアンケートを実施したところ、「メンバーや部下の状況把握が難しい」「相手の状況が分からずチャットすらしにくい」などの意見が多く寄せられたという。

 「こうした課題を解決するツールを探していたところ、仮想オフィスの存在を知った。試験導入したところ一定の効果が得られたので事業化に踏み切った」と日立ソリューションズワークスタイルイノベーション本部ワークスタイルイノベーション企画部の小倉文寿部長は説明する。

 NeWorkを提供するNTTコミュニケーションズプラットフォームサービス本部アプリケーションサービス部の大野智史担当課長によると、テレワークを中心に業務を進めるようになった企業では、オンライン会議以外の時間でメンバー同士がコミュニケーションを取る機会は減り、雑談や相談がしづらくなっているという。

 「会議や打ち合わせなどの場では話しにくい、議題になりづらい内容にこそ、新しいアイデアのタネなどが含まれている。NeWorkがあれば、ちょっとした相談や雑談などカジュアルなコミュニケーションが簡単にできる」と大野担当課長は説明する。