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 TISがロボティクス事業に本腰を入れている。情報システムの構築で培った業務分析やインテグレーションなどのノウハウを生かし、ロボットの導入を支援するコンサルティングサービスの顧客開拓を進める。さらに決済など既存のサービス事業と連携させることで、2023年までにロボット関連ビジネスで年間100億円程度の売り上げを目指す。

 同社が注力するのは、警備や清掃、案内、運搬といった業務に活用するサービスロボットの分野だ。サービスロボットを導入する際の課題やリスクの洗い出し、人とロボットの協働作業を前提とした業務設計、制御シナリオの作成などを支援するコンサルサービスを2020年1月に開始した。

 TISで執行役員を務める田島泰サービス事業統括本部AI&ロボティクスビジネスユニットジェネラルマネージャーは「新型コロナウイルス感染拡大の影響によって問い合わせが5倍以上に増えている」と話す。従来の人手不足などへの対応に加えて、コロナ禍による「非対面・非接触」のニーズが増えたことが理由だ。2020年11月中旬時点で10社近くの案件が進行しているという。

 こうした需要の拡大に対応するため、コンサルを担う人員を現在の10人前後から50人程度まで早期に増強する。「金融や物流など各業務領域に強いプロフェッショナルを増やしていく」(田島ジェネラルマネージャー)という。

 先行的な導入モデルを検証する実証実験にも積極的だ。2019年11月に東京ビッグサイトで、2020年9月には羽田空港近くの複合施設「羽田イノベーションシティ」で実施された実証実験に参画。警備/清掃/案内/運搬ロボットの導入効果などを検証した。さらに2021年春には、福島県会津若松市で運搬ロボットによる戸別配送の実証実験も実施する。中山間地域の生活道路や農道で自律走行型のロボットを走らせる。山間部の家に荷物を届けたり、農家の収穫物を集荷したりする利用を想定しているという。

TISが羽田イノベーションシティや東京ビッグサイトで実施したロボットの実証実験
TISが羽田イノベーションシティや東京ビッグサイトで実施したロボットの実証実験
(出所:TIS)
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システム構築のノウハウを生かす

 ロボット市場において、TISがカバーするのは主にシステムインテグレーター(SIer)としての強みでもあるソフトウエアの領域だ。田島ジェネラルマネージャーは「データやアプリケーションの作成、業務設計などの部分に注力する」と説明する。現時点では、ハードウエアの開発や販売、保守などを手掛ける予定はないという。ハードの領域は、ロボットメーカーとの協業などでカバーする。

 TISがロボティクス事業に参入したのは、業務分析や要件定義などSI事業で培ってきたシステム化のノウハウを活用する狙いがある。現状では、案内ロボットなどのように導入してしばらくたつと利用されなくなるケースが少なくない。こうした問題が起きるのは、ロボットを業務の中にうまく組み込めていないことが原因の一つとしてある。既存の業務システムとうまく連携できていなかったり、人が介在しなければならない部分が多く残っていたりして「費用対効果に見合わない」といったことが起きる。

 このような問題を解決するには、ロボットによる自動化を前提に業務プロセスを見直す必要がある。情報システムを構築したりERP(統合基幹業務システム)を導入したりする場合に、社内の業務内容やフロー、組織の構造などを再設計するBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を行うのと同じ考え方だ。ここでTIS はSI事業のノウハウを生かせる。

 ロボティクス事業を決済関連やヘルスケアといった既存事業のシステムと連携させる狙いもある。例えば、自律移動型の宅配ロボットにキャッシュレス決済の機能を組み込んだり、コミュニケーションロボットとヘルスケア関連のシステムを連携させて利用者の健康管理などに役立てたりする試みだ。こうした取り組みにより、新たなビジネスの創出を目指す。