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 NECは米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)とコーポレートレベルの戦略的協業契約を締結した。AWSのパートナー企業は国内外に多数あるが、今回と同等のレベルで協業しているのは米Accenture(アクセンチュア)など少数に限られる。日本企業ではNECが初という。

NECの吉崎敏文執行役員(左)とAWSジャパンの渡辺宗行執行役員
NECの吉崎敏文執行役員(左)とAWSジャパンの渡辺宗行執行役員
(出所:NEC)
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 協業を通じて、NECとAWSは国内の官公庁向けシステムや基幹系システムにおけるクラウド導入を強化する方針だ。NECは独自のクラウド製品「NEC Cloud」を持ち、官公庁向けではオンプレミスのシステム構築・運用を多数手掛ける。AWSとの協業で、NECは自社の既存事業を脅かすことにならないのか。背景を探った。

発端はAWS米本社とのパイプ作り

 協業の発表は2020年11月13日。仕掛けたのは吉崎敏文執行役員で、日本IBMでAI(人工知能)システム「Watson(ワトソン)」の事業責任者などを務めた後にNECに転じた人物である。

 AWS協業の発端は2019年夏ごろだったという。NECが日本でクラウド事業を強化するに当たり、AWSの最新の技術動向を的確に把握する必要があった。そこで吉崎執行役員は「技術動向をつかむには日本法人ではなく米国本社と直接のパイプを作らなければならない」と考え、AWS米本社と直接やりとりして、NECの技術者をAWSに送り込んで技術を習得させる内容の交渉をまとめた。

 当初は技術交流の域を出なかったが、コーポレートレベルの協業にまで発展した背景にはAWSの思惑があった。AWSジャパンの渡辺宗行執行役員は「AWSが日本でクラウド事業を拡大するに当たって、自社だけでは解決できない2つの課題があった」と明かす。渡辺執行役員も日本IBM出身だ。