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 勤怠管理SaaSの「KING OF TIME」がWeb多言語化することが日経クロステックの取材で分かった。多言語化は主にインバウンド対応のために採用されることが多かったが、新型コロナウイルス禍でその需要が減っても、日本企業が相次いで踏み切っている。その理由はどこにあるのか。

 KING OF TIMEはヒューマンテクノロジーズ(東京・港)が提供するクラウド勤怠管理システム。出退勤の打刻や休暇取得、申請承認など、勤怠管理に必要な情報をオンラインで完結できるサービスで、約2万4000社が利用している。これまで日本語と英語による2カ国語表示に対応してきたが、顧客からのニーズを踏まえてタイ語表示を公開する。今後も順次、対応言語を拡大させる方針だ。

(資料:Wovn Technologies)
(資料:Wovn Technologies)
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 多言語化に当たって、Wovn Technologies(ウォーブンテクノロジーズ、東京・港)が提供する多言語化 APIソリューション「WOVN.api(ウォーブン・ドットエーピーアイ)」を利用する。

 ウォーブンが提供するソリューションの特徴は、Web多言語化のためのシステム開発の手間を大幅に削減できる点にある。同社の上森久之取締役副社長COO(最高執行責任者)によれば「従来型の開発と比較して価格・期間ともに3分の1から10分の1に抑えることができる」という。グローバルで1万8000社以上が採用しており、「国内の上場企業におけるシェアはトップだ」(上森COO)。

 顧客が自社システムを多言語化対応するために追加開発するのではなく、ウォーブンがWebサイトを解析してテキスト要素などを翻訳する仕組み。多言語化したいURLを解析して、コンテンツのテキスト要素を一覧表示し、自動で翻訳案を示す。SPA (シングルページアプリケーション)にも対応している。訳語や画像を手動で編集することもできる。もともとのWebサイトのHTMLにJavaScriptのスニペットを埋め込めば、Webサイト上で言語の切り替えができるようになる。最大で43言語に対応する。

ウォーブンが提供するソリューションの管理画面の例(資料:Wovn Technologies)
ウォーブンが提供するソリューションの管理画面の例(資料:Wovn Technologies)
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 近年の日本企業のWeb多言語化は、インバウント対応が主な背景だった。EC(電子商取引)サイトやネットバンクなど、外国人が多く利用するサイトで多言語化が進んできた。2020年に入って、新型コロナウイルスによってインバウンドは激減しているが、それでも多言語化を進める企業は減っていない。ウォーブンの上森COOは「今年の売上高は2019年と比較して2倍になっている」と話す。

 なぜ、インバウンドが減っているのにWeb多言語化を進める企業は倍増しているのか。