全1486文字
PR

 NECは2020年11月30日、社長交代に関する記者会見を開催した。21年4月1日付で社長に就任する森田隆之氏が優先課題として挙げたのは、技術力を収益力につなげる「事業開発力」の強化。キラリと光る技術はあれども業績に生かせていない現状からの脱却を図る。

森田隆之氏
森田隆之氏
2021年4月1日付でNECの代表取締役執行役員社長兼最高経営責任者(CEO)に就任する。現在は代表取締役執行役員副社長兼最高財務責任者(CFO)を務める(出所:NEC)

 「技術的な優位性があっても、利益が出ていなければ、価値として認められているとはいえない」。森田氏はNECの現状について、顔認証やAI(人工知能)など世界でトップクラスの技術を持っているにもかかわらず、それを収益に結び付けられていないという認識を示した。

 現在進めている2021年3月期までの中期経営計画(2020中期経営計画)では、目標に掲げていた営業利益率5%が「視野に入ってきた」(同氏)。次期中計では、グローバルで5G(第5世代移動通信システム)やAI、デジタルガバメント、デジタルファイナンスといった事業の拡大を目指す。現社長の新野隆氏の体制下で事業の「種」はそろってきた。森田氏の役割は、それを収益源に育てること。そのためには、技術を価値に転換する事業開発力が不可欠だという。

 一方で、自社の技術力やエンジニアリング力には大きな信頼を寄せる。「継続的に技術を強化したり、足りない技術を補完したりする必要はあるが、中核となる技術は十分に持っている」(同氏)。

Open RAN市場の広がりを実感

 グローバル事業の拡大に向けて、追い風も吹いてきた。森田氏が期待する事業の1つが5Gである。同氏によれば、5Gが4G以前の通信技術と最も異なる点は、「社会への影響度が広くて深い」ことだという。「ネットワークはもともと国が基幹産業として担っていた。その後、コンピューターの進化で民営化が進んだが、5Gの持つ社会への影響度によって、(ネットワークは)安全保障や国際競争力の根幹として再認識された。今は(機器ベンダーが限られていて)競争が少ないので、もっと競争を促す流れにある。(特定機器ベンダーの囲い込みを防ぐ取り組みとして期待されている)Open RANの市場が広がっていることも日々実感している」(同氏)。