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「n型単結晶」のシェア拡大か?

 とはいえ、「p型単結晶」セルが大きくシェアを占めるなか、「n型単結晶」セルはじりじりとシェアを伸ばしている。

 SPVマーケットリサーチの創立者・チーフマーケットリサーチアナリストであるポーラ・ミンツ氏によると、今年10月時点で「n型単結晶」の商業用生産容量は15.3GWで、2015年と比べると約3倍の規模に拡大しているという。さらに、「n型単結晶」は、従来型単結晶と従来型多結晶の両方のシェアを2020年には上回ると予測している(図4)。

図4●2020年・太陽光発電の世界市場における結晶シリコン系太陽電池のタイプ別シェア予測
図4●2020年・太陽光発電の世界市場における結晶シリコン系太陽電池のタイプ別シェア予測
(出所:SPV Market Research)
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 ミンツ氏によると、プレミアム価格の太陽電池販売でマージンの改善を計画しているメーカーは、「n型単結晶」シリコンの高効率化技術を検討、または、すでに特定の技術に移行しているという。その候補としては、HJT(Heterojunction technology:超高効率ヘテロ結合技術)、IBC( Interdigitated Back Contact: バックコンタクト/裏面電極)、n型PERC、n型PERT(Passivated Emitter and Rear Totally diffused:n型不動態化エミッタおよび裏面全拡散型)、そしてTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contacts: 量産型トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)がある。

 スイスの機械メーカーである、マイヤー・ブルガー・テクノロジーは、今までHJT技術用の製造設備の主要なサプライヤーであった。同社は今年7月にドイツ東部でHJTの太陽電池セルとモジュールの生産に参入する計画を発表した。同社の既存の顧客・パートナーである太陽電池メーカーにとって、生産設備メーカーが直接、「n 型単結晶」による最先端技術で太陽電池の生産に乗り出すことは、競争上の不安材料になりそうだ。

 「n型単結晶」セルは材料コストがより高いので、「n型」の製造業者は、例えば、銅の代わりにアルミニウムを使うなど製造工程のどこかでコストを削減する必要がある。現在、「n型」セルテクノロジーの中で「市場リーダー」と呼べる抜き出たシェアを占めるテクノロジーはないが、「マイヤー・ブルガーの太陽電池生産への参入で変化が起きるかもしれない」とミンツ氏は語った。