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 ポケモン社と日本コカ・コーラ、日本IBMの3社は2020年11月13日、合同で「はらぺこベトベター」を東京・池袋のサンシャインシティに設置した。はらぺこベトベターはゲーム「ポケットモンスター」シリーズに登場するキャラクター「ベトベター」を模したリサイクルボックス。使い終わったペットボトルやびん、缶をベトベターの口の部分に投入すると内蔵しているセンサーとカメラが画像認識技術で種類を見分け、それぞれに応じた鳴き声を出す。鳴き声の役は声優の中村悠一氏が務めた。

 設置の目的はごみの分別に関する啓発とベトベターの人気向上だ。日本コカ・コーラではリサイクルボックスにペットボトルやびん、缶以外のごみが捨てられる問題に悩み、ポケモン社はゲームやアニメの中では⼈気の低いベトベターに注目を集めたいと考えていた。両者の悩みをIBMの技術で解決しようという試みだ。

 はらぺこベトベターは11月15日まで設置され、3日間でペットボトル175本、びん33本、缶58本を「飲み込んだ」。回収した合計266本の資源からペットボトル、びん、缶を合わせて205本を再生できる見込みだという。

中央がはらぺこベトベター。ベトベターは廃液(ヘドロ)を食べる「ヘドロポケモン」に分類される。後ろに立つのがタッグを組んだプロジェクト担当者で左からポケモン社の内藤剛史氏、日本コカ・コーラの柴本健太郎マネージャー、日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングの白石歩ITスペシャリスト
中央がはらぺこベトベター。ベトベターは廃液(ヘドロ)を食べる「ヘドロポケモン」に分類される。後ろに立つのがタッグを組んだプロジェクト担当者で左からポケモン社の内藤剛史氏、日本コカ・コーラの柴本健太郎マネージャー、日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングの白石歩ITスペシャリスト
(撮影:日経クロステック)
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600枚の画像で学習、約90%の精度で識別

 はらぺこベトベターが投入された容器を判別する仕組みはこうだ。ベトベターを模したリサイクルボックスはセンサーとカメラ、小型コンピューターを搭載する。容器が投入されると口内の重さに反応してセンサーが感知し、カメラがそれを撮影する。小型コンピューター「Raspberry Pi 4 Model B」が画像データをクラウドに送信する。AIによる画像認識でペットボトルかびん、缶かに判別された結果ははらぺこベトベターの小型コンピューターに返され、はらぺこベトベターがその結果に応じた鳴き声を出す。画像の撮影や送受信、音声の再生などはRaspberry Pi 4 Model Bが制御する仕組みだ。

 画像認識に使うのは米IBMのAI「Watson」を使った画像認識サービス「Watson Visual Recognition」だ。はらぺこベトベターではペットボトル、びん、缶の画像を学習用データとして取り込み、正しい判別をするようプログラムを調整する「教師あり機械学習」の方式を採用した。教師あり機械学習では、学習用データを多く取り込むほど正確な判断を下せる可能性が高くなる。

 学習用データ画像は500~600枚程度用意したという。350mlと500mlのペットボトル、びん、缶とボトル缶の5種類について、国内販売数が上位30位までの製品を調べ、容器の画像をAIに学習させた。日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリングの白石歩ITスペシャリストは「ラベルのデザインが少し違っただけでも結果に影響が出る可能性がある」とAIの精度を上げる上での苦労を話す。学習の結果、約90%の精度で5種類を判別できるようになったという。