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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、世界の経済活動に多大な影響を与えている。原油の需要低下もその1つだ。感染拡大を防ぐために、人の移動が禁止されたり、移動を抑制されたりすることで車の通行量が減ったり、飛行機が減便されたりしたことなどが大きな要因である。

 原油の需要低下によって起きた問題の1つが貯蔵施設の不足だ。例えば、米ロサンゼルスタイムズ紙は、ロサンゼルス沖で行き場を失った原油タンカーが列をなして待機している様子を動画付きで報じた。

 実は、この異変は現場に行かなくても衛星データを利用することで簡単に見ることができる。人工衛星が搭載するレーダーを使うことで、海面と大型船などの人工物を見分けることができるのだ。

 欧州連合(EU)が運用している地球観測プロジェクトである「コペルニクスプロジェクト」では、「センチネル」という名称の人工衛星を複数打ち上げて様々な地球観測を行っている。「センチネル1号機」がレーダー衛星であり、「Google Earth Engine」で観測結果を閲覧できる。今回の分析では海面は黒く、船舶や地表面は白く表示されるように設定し、レーダーが捉えた船影を見てみよう。期間としては、ロサンゼルスではロックダウン(都市封鎖)が2020年3月に実施されたため、その直後の4月と、通常時との比較のために2019年4月の状況を見てみる。

2020年4月のロサンゼルス沖の様子
2020年4月のロサンゼルス沖の様子
(図:Google Earth Engine/Copernicus Sentinel-1)
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2019年4月のロサンゼルス沖の様子
2019年4月のロサンゼルス沖の様子
(図:Google Earth Engine/Copernicus Sentinel-1)
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 上の2枚のレーダー衛星のデータを比較すると、画面中央上部の港から見た、南東エリアに2020年4月は2019年同時期よりも多くの船舶を確認できる。貯蔵施設の不足によって、タンカーが停泊せざるを得ない状況になったのだ。

 改めてロサンゼルス・タイムズの記事(https://www.latimes.com/california/story/2020-04-24/dramatic-video-shows-l-a-coast-filled-with-dozens-of-oil-tankers-with-nowhere-to-go)に掲載された動画を見ると、斜めに列を作ってタンカーが停泊している。これと同じ様子を、自宅のパソコンで衛星画像から確認できるわけだ。