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 アルミニウム(Al)を電線の導体に用いる自動車用ワイヤハーネスの需要が高まっている。一般的な銅(Cu)電線を用いるものに比べて30~40%の軽量化が可能。CuからAlへ、ワイヤハーネスの“主役”が数年以内に交代すると予測する声が聞こえてきた。

 「当社のワイヤハーネス事業の売上高に占めるAl合金製ワイヤハーネス(以下、Alハーネス)の割合は今のところ20~25%程度だが、24年には50%を超える。8社の自動車メーカーの75の車種に搭載される見通しだ」。Alハーネスへの追い風を語るのは、古河電気工業で自動車部品事業の部門長を務める阿部茂信氏(執行役員常務)である(図1)。

図1 古河電工のワイヤハーネス事業の売上高と受注状況
図1 古河電工のワイヤハーネス事業の売上高と受注状況
棒グラフが売上高。赤色の線グラフが全体に占めるAl合金製ワイヤハーネスの割合で、20年の20~25%から24年には51%まで高まる。(出所:古河電工)
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 クルマには1台あたり20kg前後のワイヤハーネスが搭載されており、車両の隅々に電力を供給したり制御信号を伝達したりしている(図2)。Cu電線を使うワイヤハーネスが主流だが、「クルマが多機能化して回路(配線)数が増えたことで車両が重くなり、設計しづらくなってきた」(同氏)という。

図2 自動車用ワイヤハーネスの例
図2 自動車用ワイヤハーネスの例
人間の血管や神経に例えられるように、車両の隅々にまで張り巡らされている。(出所:古河AS)
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 確かに、自動運転や先進運転支援システム(ADAS)の機能を実現するには多くのセンサーやECU(電子制御ユニット)を搭載する必要があり、自然とハーネスの量は増える。電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)では、高電圧の電力を供給するために高圧ケーブルが多くなる。

 こうした背景から需要が高まっているAlハーネス。材料単体で見れば、Alの比重はCuの3分の1ほどだが、「Cuと同等の電気特性にするには電線径を太くする必要がある」(古河電工)。この結果、ワイヤハーネスの状態ではAl化による効果は30~40%の軽量化となる。コスト面では、「ハーネスにするとAlとCuでほぼ同等」(同社)という。電線としてはAl線の方が安価だが、端末の防食処理などが必要になるためだ。