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 「常日頃からコミュニケーションを取れるように変えていかなければならない」。岐阜県に本店を置く大垣共立銀行の安田次朗執行役員IT統括部長は、顧客との関係について危機感を口にする。例えば住宅ローン。「昔は銀行からいくら借りられるかを確認することが、マイホームを検討する際の入り口だった」(安田執行役員)。今は順番が逆で、購入したい物件を決めてから住宅ローンを探すという。まずは銀行の支店に行ってみる、という行動様式は薄れつつある。

 顧客が気軽に関わりを持てる存在へ――。大垣共立銀行は、顧客接点の見直しに乗り出した。期待をかけるのが、シンガポールのFinTech企業であるマネーソー(Moneythor)が提供するレコメンドツール「Moneythor」だ。デジタル先進銀行として世界的に著名な同国DBS銀行など、20を超える金融機関が導入済み。日本では初の採用例で、日本ユニシスが支援する。2020年11月17日に発表した。

取引データを基に、顧客の消費行動や資産状況を自動で分析

 Moneythorの特徴は、1人ひとりの顧客に応じたコミュニケーションを実現できる点だ。金融機関が抱える取引データを基にして、顧客の消費行動や資産状況を自動で分析、使いすぎを警告したり余剰資金の投資を勧めたりといったことを、オンラインチャネル経由で提供できる。Moneythorは、これまで蓄積したノウハウを基に約120のシナリオをあらかじめライブラリーとして実装済み。設定した条件に従って、気づきを与えるコンテンツやレコメンドを配信できる。「人間の行動はグローバルでも大きくは変わらない」と、日本ユニシスの根本恒ネオバンク戦略本部長補佐は説明する。

 例えば、月初からの支出をカテゴリー別に可視化するとともに、レコメンドの詳細画面で家計管理の目安となる豆知識を伝える。その流れで、「ショッピングは毎月5万円まで」といった予算設定を促し、予算金額が近づいたり超過したりしたタイミングでアラートを出すことが可能だ。

「Moneythor」の支出分析機能
「Moneythor」の支出分析機能
出所:日本ユニシス
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 金融機関がカスタマイズしてシナリオを設計することもできる。毎月家賃支払いのある顧客に「持ち家に興味があるか」と尋ね、肯定的であれば住宅ローンのシミュレーションを持ちかける。いくら借りられるかを把握してもらうことで、マイホーム購入への1歩を踏み出すきっかけにする。「10年後に検討したい」という回答であれば、貯蓄に向けた提案を持ちかけるといった具合だ。「双方向のやりとりができる点が、Moneythorを選んだ理由」と、安田執行役員は語る。一方的に商品・サービスを推奨するのではなく、あたかも顧客と営業担当者が会話するかのようなコミュニケーションを図る。

 基本的なシナリオであれば、Moneythorのライブラリーを引用しながら、GUIで条件などを設定して作ることが可能。高度なシナリオも、JavaScriptで記述できる。