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 独Siemens(シーメンス)が日本で攻勢をかける。製造業向けソフトウエア事業で実績のある堀田邦彦氏が2020年10月1日付で日本法人社長に就任。デジタル化先進企業の支援で培った経験を展開する戦略で、まずは日本での存在感を高める。

堀田邦彦氏
堀田邦彦氏
20年10月1日付でシーメンス日本法人の代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に就任した(出所:シーメンス日本法人)

 製造業では、製品の複雑化やソフトウエアの比重拡大でデジタル化対応が急務になっている。近年、シーメンスは既存の自動化機器に買収で得たソフトウエアを組み合わせることで、製造業のデジタル化需要をいち早く捉えてきた。「デジタルツインを推進し、リアルとバーチャルを融合できる世界で唯一の会社と自負している」(堀田氏)。

 実際、シーメンスの業績は堅調だ。直近の20年9月期通期決算(継続事業ベース)は、売上高が前期比2.3%減の571億3900万ユーロ(約7兆2000億円)、同社が収益性指標としている産業部門のEBITA(利払い・税引き・償却前利益)は同2.9%減の75億6000万ユーロ(約9500億円)と、新型コロナウイルス禍の中でも小幅の減収・減益にとどめた。利益率は14.3%(同0.1ポイント減)と高水準を維持している。医療機器事業やエネルギー事業の分社化、電力・ガス事業の非連結化を次々と進め、自動化機器・ソフトウエア事業を中核に据える構造改革が功を奏した。

初のソフト出身社長

 そんな同社も、自動化機器の競合が多い日本では実力を発揮できているとはいいがたい。同社は産業用IoT(Internet of Things)プラットフォーム「MindSphere」を他社に先駆けて打ち出すことで日本市場を攻略しようとしたが、「サポートなどを考えると国内の製品を優先的に検討する」というユーザーの声は根強い。産業用IoTプラットフォームを巡っては、日立製作所や東芝など日本勢も名乗りを上げてきた。

 堀田氏は、PLM(Product Lifecycle Management)システムなど製造業向けソフトウエア事業で長期にわたって実績を上げ、かつては日本鋼管(現JFEスチール)に在籍した経歴も持つ。ハードウエアとソフトウエアの両方に詳しく、製造業のデジタル化支援を加速させる最適な人物として、日本法人社長に登用された形だ。シーメンス全体でもソフトウエア事業出身者がカントリーマネジャーに就任するのは初めてだという。

 製造業に限らず、日本はデジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)で世界から後れを取っているといわれる。だが、堀田氏によれば、日本の先進企業は世界的に見ても先を行っているという。「真の問題は、先進企業とそうではない企業の差が極端に広がっていることだ」(同氏)