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 「端末だけ用意すれば初期費用なし・月額100万円で、5G(第5世代移動通信システム)を利用できる」。NECの網江貴彦執行役員は同社のローカル5Gサービスについてこう胸を張る。

 同社が2020年11月26日に提供を始めた新サービスでは、ローカル5Gの企画から導入、運用まで段階に応じた支援サービスをメニューとしてそろえた。具体的には、要件定義や電波調査などの「コンサルティングサービス」と無線局免許の取得支援などの「インテグレーションサービス」、常時監視や保守手配など運営業務支援の「マネージドサービス」の3つを用意した。

 マネージドサービスではコアネットワークや基地局などローカル5Gを構成する機器と保守サービスを併せて月額料金で提供するメニューもある。料金はクラウド型5Gコアと基地局1台(無線装置のRU、無線制御装置のDUとCUを含む)の最小構成で月額100万円(税別)。Sub6(4.6ギガ~4.9ギガヘルツ)帯域にも対応する。

NECが提供するクラウド型コアネットワーク
NECが提供するクラウド型コアネットワーク
(出所:NEC)
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 NECはローカル5G関連製品やサービスを含む同社のネットワークサービスの総称である「NEC Smart Connectivity」関連ビジネスで、2025年度までに累計2000億円の売り上げを目指している。

AIや画像解析と組み合わせ

 ローカル5Gは企業や自治体が5Gを自営用として敷地内などに構築できるネットワークを指す。キャリア5Gの3つの特徴である超高速大容量・超低遅延・多数同時接続に加え、ローカル5Gは自営網なので安全性や安定性、柔軟性などのメリットがある。NECの網江執行役員は「建設や製造、交通、公共、流通などの市場を中心に展開する」と話す。建設では大林組、製造ではリコー、交通ではANA(全日本空輸)などとローカル5Gの実証を進めている。

 「強みはNECのAI(人工知能)や画像解析技術との組み合わせで提供できることだ」。NECの網江執行役員は、同社のローカル5Gサービスの特徴についてこう話す。コアや基地局といったネットワークだけでなく、AIや業種別のアプリケーションなどを組み合わせて提供することで、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する狙いだ。

 NECはAIを活用し、遅延を考慮した制御をする「適応遠隔制御技術」やネットワークの優先順位をつける「適応ネットワーク制御技術」などの技術を持つ。適応遠隔制御技術では、例えばロボットや建機の遠隔制御においてAIで予測した遅延を基に、その遅延を考慮して制御する。適応ネットワーク制御技術では、AIで重要な通信を識別して、その通信の遅延の変動を抑えることができる。

 さらにAIを使ったネットワーク運用の自動化も可能だという。AIが無線網における混雑や競合による通信品質の低下を分析・制御することで、ネットワークの運用を容易にする。従来は専門家が数日かけて分析していた。