全2604文字
新型コロナウイルスの影響を低減するため、政府がデータを使って接触者を追跡することに「賛成」すると回答した日本人は4割弱、「どちらとも言えない」との回答は4割と最多――。
デロイト トーマツ グループが2020年12月14日に発表したリポート「DX時代・COVID-19時代のプライバシー」から、政府のデータ利用に対する日本人のこのような意識が浮き彫りになった。同リポートは個人情報の取り扱いに関する消費者の意識をグローバルに調査したもの。冒頭の日本人の回答について「一定の理解は見られつつも全体的には賛否が明確ではない」と分析する。
接触確認(コンタクトトレーシング)アプリは様々な国・地域で導入が進んでいる。日本と欧州はおおむねプライバシーへの配慮が重視され、個人情報を取得しない仕組みとなっているのに対し、中国や韓国、台湾はスマホの全地球測位システム(GPS)から個人の位置情報を取得し、より詳細に個人の行動を把握する仕組みだ。
感染症の大流行を抑制する手段として、政府が人々の健康に関するモニタリングを強化するという考え方がある。デロイトの調査では日本、中国、英国、フィンランド、オーストラリア、スウェーデン、ドイツの人々に次の2つのどちらが自分の意見に最も近いかを尋ねた。
「A:ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つといった社会的・ビジネス的制限が早期に解除されるのなら、たとえ本人の許可がなくても、政府は病気の有無や居場所、接触者などといった個人データを閲覧できるようにすべきである」、「B:社会的・ビジネス的制限が長期化しても、本人の許可の有無にかかわらず、政府は個人データを閲覧できるようにすべきではない」の2つである。