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 実際に路上を走行して排ガスを評価するRDE(Real Driving Emissions)試験(図1)。欧州に続き、日本が2022年、中国とインドが23年に導入を決めた。さらに、その導入で先行した欧州では、次期排ガス規制におけるRDE試験の強化を検討中。現時点では、窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の個数(PN)に限った規制を、一酸化炭素(CO)、場合によっては全炭化水素(THC)まで広げる可能性が出てきている。NOxとPNについても、規制値の強化と適合係数(CF)の見直しが検討されており、外気温や標高によるCFの緩和についても見直しが入る可能性がある。そればかりか、より冷間始動時に出される排ガスのウエートが高くなるショートトリップ化(RDE試験の市街地区画における最低走行距離の短縮)も検討されている。

図1 RDE試験のイメージ
図1 RDE試験のイメージ
車載型排ガス測定装置(PEMS)を搭載し、実際に路上を走行して排ガスを評価する。(出所:堀場製作所)
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 そこで、重要になってくるのが、RDE試験に関わる開発の効率化である。RDE試験の導入国の拡大や強化によって、開発工数がさらに増すとみられるからだ。RDE試験のための開発工数は、欧州で最初に導入された時点で既に、試験室内で実施する通常のサイクル試験の約7倍とされていて、その工数がさらに増加すると予想されている。

 RDE試験の開発工数が高いのは、1つとして、同試験を実際に実施するのが第三者機関であるからだ。第三者機関が、規制の規定内で実際に車両を路上で走らせて、規制を満たしているか否かを評価する。そのため、許される範囲内であれば、第三者機関のさじ加減で荒っぽく走ったり、全負荷となる条件で走ったりすることができてしまう。

 しかも、実際の路上で行うRDE試験は、試験室内のサイクル試験と違って、周囲の温度や標高(圧力)、道路の傾斜や曲率、風など運転環境が大きく変化する。そうした環境下で、さまざまな走り方をされることを想定して規制をクリアできるように開発していかなければならない。その上、欧州では規制強化によってRDE試験のクリアに向けたハードルは高まる。また、新たにRDE試験を導入する国・地域では、欧州とは車速や外気温、標高などの条件が多少異なっており、それらへの対応も必要になる。そのため、RDE試験対応のための開発工数は飛躍的に増えるとみられている。

 そして、開発工数の大幅な増加は、試作車両ができてからRDE試験を実施していたのでは間に合わないという危機感を増大させる。いかにRDEの試験条件を試験室内で再現できるようにするか、そしてそれにより開発の早い段階からRDE試験に関する評価とフィードバックを始めるかが、重要になってきている。