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 日本精工は、産業機械やプラントの状態監視事業に参入する。200億円超の手元資金を投じて英社から同事業を買収し、足掛かりとする。サービスによる継続的な収入源を確立し、いわゆる「物売り」依存からの脱却を図る。

 英Spectris(スペクトリス)の状態監視事業を買収する。買収対象は、同事業に関連する資産と同事業を手掛ける子会社の独「Brüel & Kjær Vibro」(ブリュエル・ケアー・バイブロ、以下BKV)。買収額は約1億6900万ユーロ(約211億円)で、日本精工は手元資金を充当する。同社とスペクトリスは2020年12月10日に譲渡契約を締結した。クロージングは、21年3月末を予定している。

左が日本精工代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の内山俊弘氏、右がBKVのCEOであるMarcel Van Helten(マルセル・ファン・ヘルテン)氏(撮影:日経クロステック)
左が日本精工代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の内山俊弘氏、右がBKVのCEOであるMarcel Van Helten(マルセル・ファン・ヘルテン)氏(撮影:日経クロステック)
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 BKVの19年1~12月期の売上高は5250万ユーロ(約65億円)で、日本精工の調査によれば「状態監視事業で世界のトップ10に入る」(同社代表執行役副社長兼最高財務責任者の野上宰門氏)。特に回転体の状態監視を得意にしており「回転体だけなら世界で5~6%のシェアを占めている」(同氏)。売り上げの産業別の内訳は、風力発電が42%と最も多く、オイル・ガス(16%)、水力・火力発電(7%)と続く。状態監視システムの導入実績は、風力発電に約3万機、LNG・石油精製に約1万機、水力発電に約800機である。今後は、日本精工の顧客である工作機械業界などへの展開を狙う。

 日本精工が買収を検討したのは19年12月。新型コロナウイルス感染拡大が本格化する直前の20年1、2月に同社幹部が英国・ロンドンにあるスペクトリスのオフィスを訪問し、協議を始めたものの、感染拡大で棚上げになっていた。その後、20年夏にスペクトリスが売却を前向きに検討したことで協議が再開。リモート会議で交渉を重ね、契約締結に至った。