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 「既存プラチナバンドを再配分して新規参入事業者への機会の平等を実現してほしい」――。総務省が2020年12月23日に開催した有識者会議「デジタル変革時代の電波政策懇談会」で、楽天モバイル社長の山田善久氏はこう訴えた。携帯電話のエリア展開に適していることから「プラチナバンド」と呼ばれる700M~900MHz帯の電波。NTTドコモとKDDI、ソフトバンクにプラチナバンドが割り当てられているものの、楽天モバイルには割り当てられていない。プラチナバンド再編を巡り、楽天と大手3社のせめぎ合いが激しくなりそうだ。

楽天は他社15MHz幅を10MHz幅に減らす案を示す

 この日の会合では、楽天モバイルのほかNTTドコモやKDDI、ソフトバンクの幹部が出席。メインの議題となったプラチナバンド再編を巡って意見を戦わせた。

他社と比べて割当周波数が圧倒的に少ないと楽天モバイルは訴える
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他社と比べて割当周波数が圧倒的に少ないと楽天モバイルは訴える
(出所:総務省会合における楽天モバイルの資料)

 楽天モバイルの山田氏は、同社が保有する周波数は他社と比べて圧倒的に少ないと指摘。現状で楽天モバイルのユーザーは、データ利用量が他社と比べて約2倍だとし、2021年には周波数の逼迫(ひっぱく)度が他社と同程度になるとした。

 特に山田氏が指摘した課題は、エリアを作る上で有利なプラチナバンドが楽天モバイルにだけ割り当てられていない点だ。このような状況では既存事業者との公正競争環境が実現されにくいと訴えた。

既存プラチナバンドの再分配を求めた
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既存プラチナバンドの再分配を求めた
(出所:総務省会合における楽天モバイルの資料)

 その上で山田氏は、大手3社に割り当てられたプラチナバンドの再配分を求めた。山田氏は「プラチナバンドの割り当ては15MHz幅が一つの単位になっている。他社の15MHz幅をそれぞれ10MHz幅にすることで、公平な割り当てになるのではないか。割当幅を減らすことはソフトウエアの改修だけで対応できるのではないか」とした。

 こうした楽天モバイルの意見に対し、大手3社の幹部は当然のことながら難色を示した。

 ソフトバンク副社長兼最高技術責任者(CTO)の宮川潤一氏は「かつてソフトバンクもプラチナバンドを持っていない時期があり、楽天モバイルの気持ちは分からなくもない。しかし地域のエリアでは、プラチナバンドを使ったキャリアアグリゲーション(CA)によって高速化を図っている。急激にプラチナバンドを減らすことは設計上難しい」とした。