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 自社のDX推進状況を自己診断した国内223社の9割以上はDXと呼べるレベルに達していない――。経済産業省が2020年12月28日に公開したデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速に向けた研究会の中間報告書「DXレポート2(中間取りまとめ)」で、そんな現状が明らかになった。ただ、同研究会の座長を務める南山大学の青山幹雄教授は「結果は想定内。2021年はDX推進元年の年になる」と強調する。

92%の企業が「未着手」や「一部での実施」

 同報告書はDXについて、「変化に迅速に適応し続けること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することがDXの本質であり、企業の目指すべき方向性」としている。

 経産省は2019年7月に「DX推進指標」を策定。DXの成熟度を「レベル0(未着手)」「レベル 1(一部での散発的実施)」「レベル2(一部での戦略的実施)」「レベル3(全社戦略に基づく部門横断的推進)」「レベル4(全社戦略に基づく持続的実施)」「レベル5(グローバル市場におけるデジタル企業)」の6段階で評価する。DXに取り組む企業は推進に当たって現状を把握したり、目標を設定したりするのに活用できる。

 青山教授は「まずはレベル3が目標」と話す。同報告書はDXを企業文化変革の取り組みと位置付けており、全社レベルかつ戦略的に取り組む必要があるとしているからだ。ただ、2020年10月時点で223社が自社のDX推進状況について自己診断した結果を情報処理推進機構(IPA)が分析したところ、全企業の平均レベルは1.5だった。92%の企業がレベル0の「未着手」や、レベル1や2の「一部での実施」にとどまっていた。

DX推進指標自己診断結果では、9割以上の企業が未着手から一部での実施にとどまった
DX推進指標自己診断結果では、9割以上の企業が未着手から一部での実施にとどまった
出所:経産省「DXレポート2(中間取りまとめ)」。図中の「約95%」は2019年の数値
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「ベンダーも変わる必要がある」

 同じく青山教授が座長を務める経産省の研究会は2018年9月に「DXレポート」を公表し、企業の基幹系システムのブラックボックス化などの課題を指摘した。「危機感があまりにもなかった」(青山教授)日本企業に対し、警鐘を鳴らした格好だ。その後、経産省はDX推進ガイドラインやDX推進指標を策定するなどして企業のDX推進を支援してきた。

 これらの取り組みの結果、「危機感の共有は進んだ」(青山教授)一方で、「具体的な取り組みが進んでいない」(同)。その原因として同研究会は2つの課題を挙げる。