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 欧州連合(EU)の排ガス規制「Euro 6d」――。ポート噴射のハイブリッド車(HEV)向けガソリンエンジンとして、そのEuro 6dに対して完全対応をうたっているのが、例えば、フランスRenault(ルノー)のハイブリッドシステム「E-TECH」向けに日産自動車が開発した1.6L直列4気筒エンジンと、トヨタ自動車の1.5L直列3気筒エンジン「M15A-FXE」である(図1)。

図1 トヨタ自動車の1.5L直列3気筒ガソリンエンジン「M15A-FXE」
図1 トヨタ自動車の1.5L直列3気筒ガソリンエンジン「M15A-FXE」
ハイブリッド車(HEV)用のポート噴射のガソリンエンジン。(出所:トヨタ自動車)
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 Euro 6dでは、筒内直接噴射(直噴)のガソリンエンジンと違って、ポート噴射のガソリンエンジンには粒子状物質(PM)やPMの個数(PN)に関する規制がない。だが、両エンジンとも、欧州市場向けではGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)を搭載する。

 もっとも、両者では、GPFを搭載する直接的な狙いが異なっている。

 ポート噴射の場合、あらかじめポート内で燃料と空気を混合する。このため、直噴と違ってPMの発生は少ないとみられていたが、HEVやプラグインハイブリッド車(PHEV)では、エンジンを停止させる時間やエンジンを再始動する頻度が通常のエンジン車に比べて増大する。そのため、PMやPNを発生させやすいとされる、エンジンの冷却水の温度が低く排ガス後処理装置(触媒)が冷えた状態での再始動が繰り返されるケースが出てくる。日産は、このPMやPNをできるだけ燃費を犠牲にせずに低減することを主に狙った。

 一方、トヨタは、高速走行を常用する欧州という地域性から、高負荷運転時のPMやPNの低減を主に狙った。高負荷運転時は、投入する燃料が増加することから、PMやPNが増える。もっとも、冷間時のPM/PN排出については、燃料噴射の多段化(マルチポート噴射)によって気筒壁面やピストン頂面への燃料付着を抑制し、それらの排出低減を図っている。

 同社電動パワトレ性能開発部第1プロジェクト開発室第4G主任の篠原由継氏は、「(マルチポート噴射によって、冷間時の)PMはGPFなしでも排出を十分抑制できている。実験室レベルでは、WLTC(Worldwide harmonized Light vehicle Test Cycle)走行において、Euro 6d規制に対してGPFなしで適合できるという結果を得ている」と明かす。