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 静岡銀行の新勘定系システムに2021年1月4日の稼働直後から不具合が相次いでいる。1月12日正午時点でいまだ完全復旧に至っていない。同行は2度の延期を経て、勘定系システムの稼働にようやくこぎ着けたが、出足でつまずいた。

 「開発の現場は騒然としている」。プロジェクトの内情を知る関係者はこう打ち明ける。

 静岡銀は1月4日、日立製作所と共同開発した勘定系システムを稼働させた。Linuxで動作し、「コンポーネント化」など新たなアーキテクチャーを採用した。金融庁が金融機関の基幹系システムに関する先進的な取り組みを支援する「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」の支援第1号に選ばれるなど期待のプロジェクトだった。

5つの不具合が続出

 静岡銀は不具合を5つ明らかにしている。経緯はこうだ。

 まず1月4日の稼働直後に静岡銀宛ての振り込みの一部が遅延し、入金不能も発生した。同日、セブン銀行のATMにおいて静岡銀口座の取引や、法人向けインターネット取引サービスなどを使った給与振り込みの不具合も発生していると明らかにした。給与振り込みに関しては、振込金額から送金手数料を誤って差し引いていた。

表 静岡銀行の新勘定系システムにおける不具合の経緯
2021年1月12日正午時点
発生日概要状況
2021年1月4日他金融機関から静岡銀宛ての振り込みの一部に遅れや入金不能が発生対応中
1月4日セブン銀行のATMで静岡銀口座の入出金ができないなど復旧
1月4日法人向けインターネット取引サービスなどを使った給与振り込みで、振込金額から送金手数料を誤って差し引いて入金復旧
1月4~5日静岡銀から他金融機関への振り込みの一部で二重振り込み対応中
1月4日静岡銀やセブン銀のATMで受け付けた他金融機関宛ての振り込みの一部が未完了復旧

 1月6日には、静岡銀から他金融機関への振り込みの一部で二重振り込みがあったことも分かった。振り込みを依頼した顧客の口座から引き落とした振込金額に問題はなかったが、振込先に2度入金してしまったという。1月8日には、静岡銀やセブン銀のATMで受け付けた他金融機関宛ての振り込みの一部が未完了だったことも判明した。

 5つの不具合のうち、セブン銀ATMでの静岡銀口座の取引トラブルなど3つは復旧した。残り2つの不具合は、1月12日正午時点で復旧していない。

 現場の混乱ぶりも垣間見える。静岡銀は1月6日午後に、他金融機関から静岡銀宛ての振り込みの遅れが解消したとWebサイトでいったん公表したが、漏れがあることが分かり、すぐに削除した。一連の不具合を引き起こした原因が新勘定系システムの稼働に伴うシステム障害であるとは分かっているが、現時点で詳細な原因などを明らかにしていない。