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 全国の金融機関をオンラインで相互接続する「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2021年1月14日、全銀システム改革の方向性をまとめた報告書を公表した。料金などが問題となっていた多頻度小口決済については、都市銀行5行が検討中の小口決済インフラを「短期的な現実解」として採用し、2022年度早期の稼働を目指す方針を明記した。

 約8年サイクルで刷新をしてきた全銀システムだが、最初の稼働から50年近くが経過し、老朽化に伴う課題やコストの高止まりといった問題が出てきている。全銀ネットはビジネスと技術の両面で最新動向に対応すべく、2020年5月に設置した「次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース」で巨大システムの改革に向けて議論を開始した。

 今回はその内容を報告書にまとめた。同タスクフォースは有識者会議や公正取引委員会の指摘を受けて全銀ネットが設置したもので、銀行やFintech協会、ITベンダーなどが参加している。

 報告書では需要が高まる小口決済に関して、みずほ銀行や三菱UFJ銀行、三井住友銀行など都銀5行が主導して検討を進めている小口決済インフラ「ことら」を全銀ネットも連携して活用する方針を示した。ことらは日本電子決済推進機構(JEPPO)が運営するデビットサービス「J-Debit」の基盤を活用する。

ことらの概要
ことらの概要
(出所:次世代資金決済システムに関する検討タスクフォース報告書)
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 既に1000以上の金融機関が接続済みのJ-Debitの基盤を生かし、「低コストでスピード感のある実現」(報告書)を目指す。ただし、あくまでも短期的な現実解という位置付けで、今後はことらの実装と並行して「次期全銀システムの更改も視野に、中長期的な観点から継続的に検討を進めることが望ましい」(同)と結論付けた。

 ことらを巡っては、タスクフォースとは別に、都銀5行が2020年8月に独自に構想を発表していた。こうした経緯からタスクフォースがことらをどう位置付けるのか注目を集めていたが「全銀ネット・ことらプロジェクトが緊密に連携して検討を進める」(同)形に落ち着いた。