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 「今後、一部の車種(自動車)で生産を減らす可能性がある」。業績回復の途上にあるスズキが頭を痛めている。原因は、半導体不足だ。

 5G(第5世代移動通信規格)対応スマートフォンやパソコン、通信基地局、ゲーム機などで世界の半導体の需要が予想以上に増加し、半導体の需給がひっ迫。そのあおりを日本の自動車メーカーが受けている。半導体を搭載した部品の安定調達に黄色信号がともり、自動車の生産調整や減産を余儀なくされ始めた。

 スバルは2021年1月15日と16日、群馬製作所(群馬県太田市)の本工場と矢島工場(完成車工場)、大泉工場(エンジン・トランスミッション工場)の3工場の操業を一時停止する。米国インディアナ州の工場も減産の計画で、同年1月は日米でそれぞれ数千台の減産になる見込みだ。

日産自動車の「ノート」
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日産自動車の「ノート」
(出所:日産自動車)

 同年1月に国内で4000台程度を減産すると見られるのがホンダだ。鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で造っているコンパクト車「フィット」が中心になると一部で報じられている。同社は「生産車種の入れ替えや台数調整を行っている。これらの措置で半導体不足の影響の最小化を図っている」と言う。

 「世界的な半導体不足の影響を受けているのは事実。生産調整など必要な対応をとっている」と言うのは日産自動車だ。同年1月にコンパクト車「ノート」を対象に5000台規模の減産を計画していると見られる。

トヨタが日米中で生産調整

 同年1月15日に生産調整を実施したのがトヨタ自動車だ。国内3工場で合計4つの生産ラインに対し、1直(昼間)の稼働を止めた。具体的には、「カローラ」を生産する高岡工場(愛知県豊田市)の1ライン、「カムリ」を組み立てる堤工場(同市)の1ライン、「RAV4」を造る豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)の2ラインである。

トヨタ自動車の「RAV4」
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トヨタ自動車の「RAV4」
(出所:トヨタ自動車)

 原因についてトヨタ自動車は「物流オペレーションのトラブルによる部品の欠品」と語り、半導体不足には言及しない。だが、半導体不足の影響を受けて、米国ではテキサス州の工場で大型ピックアップトラック「タンドラ」の減産を計画し、中国ではカムリなどを造る広汽トヨタの生産調整を実施している。こうした背景から、国内工場の生産調整の原因も半導体不足にあると見るのが妥当だろう。